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運送業は怖い 苦悩する二代目
2011年12月27日
ある社会保険労務士が直面した運送会社の問題。会社の将来を継がせる二代目に運行管理者をさせるべきなのかどうかというものだ。事業の継承は、これから直面する運送事業者も多い課題でもある。
その事業者は父親が設立した中小運送会社で、若い息子も同社で働き、専務として頑張っていたのだという。専務は運送業に魅力を感じて、やる気に満ちていた。さらに、運送事業は点呼が大切だとして、運行管理者となって毎朝の点呼を行っていた。ある日の点呼で、顔色が悪く体調不良のドライバーが出勤してきた。話を聞くと、やはり具合が悪いとわかった。だが、交代の要員がいなかったために、「乗車させない」という判断をしなかった。専務が勤務シフト表を見ると、その翌日にドライバーは休暇になっていた。「明日は休みだから今日1日だけ頑張れるか」と言って乗車させたという。そのドライバーは、トラックに乗り出発したが、その日、体調不良が原因で交通事故を起こして亡くなってしまった。
点呼をした専務も警察の事情聴取を受け、運行管理者資格は剥奪された。何よりも、自身の判断で乗車させた結果が招いた重大事故が大きな衝撃となった。「運送事業は怖い」という気持ちが強くなり、「乗車させないと判断していれば」という後悔の念から、出社できなくなってしまった。
この事業者を担当した社労士は「交代できる従業員がいないなど様々な事情があるにせよ、会社の将来を担う二代目を運行管理者に置いておくことが、将来の会社経営にいいのかどうか」という課題を事業者に投げかける。(千葉由之)
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