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    事業許可の更新制度の導入 現場窓口は「対応困難」

    2012年1月27日

     
     
     

     国交省の「最低車両台数・適正運賃収受ワーキンググループ(WG)」で議論されている「事業許可の更新制度の導入」だが、「行政コストの負担増大についてはIT技術の活用などで工夫できるのではないか」との意見が出る一方、審査を受け付けると予想される運輸支局などでは「現状の対応では、とても無理」との声が挙がっている。運送事業者のコスト負担はもちろん、申請を受け付ける現場窓口にも不安が広がっている模様だ。



     同省が現在、議論している背景には、「市場構造の健全化などに向けて、どのような方策をとるべきか」という問題がある。同WGでは、「導入により不適正事業者を排除するべき」との意見と、「事業者も更新手続きにかかる書類作成など、負担増となり避けるべき」との意見があり、賛否両論の状況だ。

     トラック業界内では、「公平なルールを構築することが重要。現状のままスタートした場合、行政の現場が対応できるかどうか疑問」と指摘する声は大きい。

     東京運輸支局の場合、貨物運送事業者数は5812社(平成22年3月31日現在)で、うち車両台数が5台以下の事業者数は1979社。ある担当官は「現場の声としては無理というところか。現状の人員でも業務をカツカツでこなしている。また、人員は減員される方向にあり、増えることはあまり考えられない」とコメント。また、「受け付けや簡単な審査は当支局でやるが、実際の審査は関東運輸局が担当する。それでも、受け付けなどの業務を担当するだけでもかなり厳しい状況となるだろう」という。

     関運局の貨物課では、「年間でざっと400─500件の申請を審査している。これを実際に処理しているのは3人」という。担当官は「この状況で更新制度がスタートしても、立ちいかなくなると言ってもいい。無理じゃないか」と、こちらも否定的な意見だ。

     「全国で6万社を超える運送事業者の更新手続きがスムーズに行くことが、果たして可能かどうか。地域によって公平さに欠けるのであれば問題となる」という声もある。「また、どこまで更新時に審査するのかということもある。地域によっても運送事業の環境はバラバラで、一律に審査できるかどうか。ある程度は現場の裁量に任せる必要性もあるかも知れない」と話す。

     行政の現場が大混乱となれば、「公平な審査」が可能かどうか疑問だ。WGで議論されている「市場構造の健全化」から遠ざかることにもなりかねない。

     国交省の中田徹・自動車局長は19日、定例会見で「コンプライアンスを向上させるためには有効な制度」とした上で、「簡単な話ではなく、行政のコストは大きく、優秀な事業者もそうでない事業者も平等な手続きが必要となる。違反すると講習を受けるなど、事業者の過去のコンプライアンスを見なければならない。議論させてもらうが、現実論として難しい問題が多い」と話している。(小西克弥)

     
     
     
     
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