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    若手社員を確保するための取り組み

    2012年4月20日

     
     
     

    働く人々の平均年齢が高い運送業界。若い労働力を定着させるために努めていることとは。
    今回は「若手社員を確保するための取り組み」をテーマに各事業者に聞いた。

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    数年かけ知識身につける

     ハンナ(下村由加里社長、奈良県磯城郡)は、従業員数86人を抱えているが、従業員の平均年齢は31歳と若く、20代前半の従業員は8人で、社内は活気にあふれており、若手従業員が次から次へと入社してくるという。

     同社では3?車、4?車を中心に事業展開しているが、酒・食料品の共同配送や家具の組み立て・設置業務、倉庫管理などワンマン運行に頼らない仕事も多数抱えている。3?車、4?車を運転できない新普通免許所持者には、運転者の助手やフォークリフト作業従事者として活躍できる環境を与えている。

     新普通免許所持者はやがて中型免許を取得し、運転業務に従事することになるが、同社では、2?車で運転者として独り立ちしても3年経過しないと4?車には乗せない社内規定を設けている。

     下村社長は「コストはかかるが、単に荷物を運ぶのではなく、サービス業として位置付けており、積み方のノウハウ、接客マナー、倉庫内の作業などを通じて物流サービスに対しての知識をしっかり身につけた上で、独り立ちさせた方が会社にとっても得意先にとってもメリットは大きい」と話している。
    (大塚 仁)

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    ドライバーと積極的な飲み二ケ−ションを

     世代が若くなるにつれてドライバーの気質も変わる。勤務外では上司や同僚と密接な関係を築こうとせず、コミュニケーションを積極的にとらないドライな人も増えている。

     長原配送(長原和宣社長、北海道帯広市)では、このような風潮に反し、「飲みニケーション」を重要なイベントと位置づけて定期的に開催。若手社員の定着率を高めている。

     同社では、全員参加で飲酒(成年に限る)する「コンパ」を3年ほど前から毎月開いている。昨年から新卒ドライバーの採用を始めたが、入社の際の面接でも「うちにはコンパがあります」と伝え、これに参加する意思のある人材を採用するようにしている。

     コンパでは、膝を突き合わせて経営者の人生観や哲学を話すほか、従業員からも率直な意見や悩みなどを聞く。回を重ねることで、勤務中で語りづらい熱い話や踏み込んだ話、夢を語ることも多くなり、経営者と従業員の信頼関係、また、従業員同士の絆が深まっていくという。これに伴い、将来のビジョンや経営理念が自然に浸透する。コンパは、単なる気晴らしや付き合いの延長ではなく、重要な「心の教育の場」だと捉えている。

     「会社に強制されている」と嫌がる従業員は、おのずと離れていき、「日本一ありがとうが集まる感動企業を目指す」という価値観を共有する人材のみが残る結果となった。

     長原社長は「新卒者は会社の理念を素直に吸収してくれている。仕事を任せる面では即戦力とはいえないが、将来の会社の基盤を支える重要な人材。彼らがやりやすいようにするのが私の役目」と話し、「私自身が笑いに磨きをかけ、明るい職場環境にするよう心掛けている。最近は親父ギャグをガンガン言って、スベることが多いが、この時の空気が快感になりつつある」と笑う。
    (玉島雅基)

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    未経験者を横乗り指導

     倉益運輸(岡山市東区)を訪ねると、ちょうど2?車が届いたところだった。「探していたタイプが見つかった」と草野博一社長が話す平ボディーの中古トラックは、パワーゲート付きのロング車(長さ5?99?、幅1?94?)でありながら、車両総重量は「4?950??」。新しい普通免許で乗れるギリギリのサイズだ。

     同社にはもう1台、これとは別にゲート付きの2?平ボディー車があったが、そのハンドルは2月初めに入社した22歳の村井大介さんが握ることになった。「次に若い子が面接に来たとしても、乗せるトラックがなければ話にならない」と、先を見越して?増車?したという。

     「新しい普免で面接に来るのは、まず未経験者」と話す通り、村井さんもトラックは初めて。オートマ限定の免許ではなかったものの、免許を取得してからマニュアル車に乗った経験もなかったというが、社長が横乗りでみっちりと指導。「若いし、運転が好きな人間ならすぐに覚える。逆に、これからオートマ世代の人材を採用していくうえで勉強になった」と話す。

     じっくりと育てるために現在は地場の仕事をメーンに任せているが、「業務にも慣れて中型、大型と免許をステップアップしたいという気持ちが本人に出てくれば、会社としてもサポートしていきたい」と話す。

     届いた白色の中古トラックは近く、ファーストバイオレット色に白色をほんの少し混ぜた同社のオリジナルカラーへと、プロ級の塗装の腕前を持つ社長によって化粧直しされる予定。「好きなトラックに乗って、これから頑張っていきたい」と、満面の笑みを浮かべる村井さんの後輩を受け入れる準備は整った。(長尾和仁)

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    3か月きちんと教育

     「ドライバー経験のない人材がねらい目」と話すのは、サイショウ・エクスプレス(東京都江東区)の齋藤正雄社長。「未経験者のほうがお客さんに喜ばれることが多い」という。

     「教育すれば3か月で慣れる。しかし若すぎてもダメ。乱暴な運転をする者もいるし、交通事故を起こせば元も子もない」と指摘する。「きちんと教育すれば、最初は危なっかしい運転をする人間もきちんとしたドライバーになる」。

     「若者が業界に集まらないというのは、それだけこの業界に魅力がなくなっているということ。運賃がどんどん下がっている現状では厳しい話だ」と漏らす。(小西克弥)

     
     
     
     
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