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    再びトラック盗難頻発 買い替え困難で廃業も

    2012年4月27日

     
     
     

     西日本エリアで昨年末ごろから再び、トラックの盗難被害に遭う運送事業者が増えている。兵庫、岡山の両県では一昨年の後半から建設機械に加えて平ボディーやユニック車、鋼材輸送のトレーラが集中的に盗まれる事件が発生したが、事情を知る関係者らによれば「今回もターゲットにされているのは平ボディーとユニック車」という。被害に遭った経営者の一人は「10台前後の零細事業者はギリギリの状態でやっており、代替えしたくても新車を売ってもらえない例は珍しくない。盗難を機に、廃業の決断を迫られるケースが出てきても不思議ではない」と話す。



     兵庫と岡山の県境エリアで再び頻発しているトラックの盗難事件は、「一昨年の後半に多発した際と同じく高年式のタイプが狙われており、海外のニーズがあるとされる古いトラック中心という以前のイメージとは変化している」と事情通。

     昨年末、事業所の車庫に止めていた4トンユニック車を「わずか1分半ほどの短時間で持ち出された」という運送社長は、敷地内に設置している4台の防犯カメラがとらえた映像を見て驚いた。「自動車のヘッドライトらしき明かりが映し出され、アッという間にトラックが駐車場から出て行った」と説明。

     新車から3年も経過していなかっただけにショックは大きかったが、「盗難車が事故を起こした場合の所有者責任もあるし、(損保会社に名義が変わって)車両保険が下りるまでは気が休まることはなかった」。その後、盗難対策として「1個3000円ほどのハンドルロックを全車に取り付け、大型の番犬を飼った」と話すが、「監視カメラで盗難を食い止めることもできない」と効果的な防衛策に苦慮している。

     一方、新車から2年2か月目の5トンユニック車を盗まれた運送会社では、「車両保険に入っていたので、それで代わりのトラックを調達しようと考えていたが甘かった」と社長。被害に遭ったトラックは5年のリース契約だったため、受け取る保険金から「まずリース会社が残り2年10か月分のリース料と、残存価格を差し引くとのことだった」と、手元に届いた保険金は200万円に減っていた。

     トラックは盗まれたが、その後も毎月16万円ほどのリース料を向こう3年近くにわたって払い続ける一方、保険金で次のトラックを買う腹積もりだったが、計画は大きく狂った。「ショートボディーという特殊性から中古市場でも探し出すのが難しく、オークションで見つけたものの改造費を含めて700万円。500万円もの無駄ゼニを払わされた」。

     「こっちが被害者なのに、踏んだり蹴ったりだ」とぶちまける社長によれば、「盗難届を警察に出すと同時に、幹線道路に設置されたNシステム(自動車ナンバー自動読み取り装置)を使って追跡できないかと尋ねたところ、殺人事件や銀行強盗のようなものでなければ難しいといわれた」という。車庫が国道に面している同社では「車庫に門扉を取り付ければ、入出庫のたびにドライバーが一時的に路上停車しなければならず、それで追突事故が起きても大変」と打ち明ける。

     同エリア周辺では、特定の車両タイプを狙い撃ちにする盗難事件が相次いでいる。荷物を宵積みした後に車両ごと盗難に遭うという最悪のケースもあり、この場合は「積み荷の弁償に加えて車両管理を厳しく問われ、同業他社にも荷主から厳しい注文が飛び火するなど大変な騒ぎになった」(関係者)という。

     「最近のトラックはエンジンを直結してもロックがかかっているため、それを解除しないといけないが、イモビライザーでも対抗できない犯行グループとのイタチごっこが続いている」と、自動車盗難に詳しい関係者も対策の難しさを指摘している。(長尾和仁)

     
     
     
     
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