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    「特徴義務者」制度で盤石な組織に 軽油引取税

    2012年6月1日

     
     
     

    truck_0604.jpg 昨年、法制化された「運輸事業振興助成交付金」によるト協への還付率と同程度の歩率が見込めるとして、軽油引取税の「特別徴収義務者」(特徴義務者)制度が注目されそうだ。折しも現存のト協は一様に社団法人法上の組織に移行中で、なかでも公益事業への注力を迫られる公益社団法人を選択する地域の会員事業者からは、「定義付けの不明確な『公益』を掲げても、業者が思うような公益とはかけ離れてしまう恐れがある」との懸念があることが背景だ。特徴義務者制度で組織を盤石にし、既存ト協とは角度の違った公益を目指したいとの意思を表明する関係者もいる。



     軽油引取税の特徴義務者制度は、石油元売り、または特約業者が税徴収の場面で県の代行を務めるもの。特約業者ならば、元売りから軽油引取税を抜いた軽油を仕入れ、ユーザーには税込み価格で代金を回収する。両取引の差額に当たる部分が軽油引取税にあたるため、特約業者は一定期日までに県に収め、仕入れ元や販売先も同時に報告する。

     制度は、軽油の供給者サイドのためのものととらえられがちだが、例えば兵貨協連(神戸市)は3年前、全国にある同様の組織に先駆けて「ユーザーサイド」として特徴義務者制度を活用し、実績を積んでいる。つまり、適格要件(年間販売量が70キロリットル以上であることなど、地方自治法上の指定要件)を満たしていれば供給者側の組織ではなくても制度を使うことは可能だ。

     兵貨協連の場合、軽油価格が高騰したことが制度利用のきっかけとなった。供給者サイドのように気軽に利ざやを抜ける立場ではない協組組織として、「別の儲け口が必要だった」(関係者)。利ざやなしで組合員に軽油を使ってもらえる仕組みを作るためのファイナンス手段だった。

     特徴義務者の資格を都道府県から得ると、徴税の事務代行手数料(事務取扱交付金)が県から得られる。旧自治省時代の通達が交付の根拠だ。還付率は都道府県によって異なるが、兵庫県や大阪府などでは税額の2.5%。また、取引量の1%は自然に蒸散したり、こぼれたりするとみなされている制度(欠減量)があることから、特徴義務者はその分の納税を免除されている。

     結果、事務取扱交付金と欠減量の合計3.5%が軽油引取税率32.1円からそぎ落とされ、リッター当たり1円強が特約業者に還流される仕組みだ。

     この還付率を、ト協が現在受け取っている交付金の還流率と比べてみよう。交付金は、国内のトラック業界全体で年間およそ5000億円を納税している軽油引取税のうち、約180億円を都道府県ト協が受け取る構造で、還流率はおおむね3.6%となる。特徴義務者への還流率とほぼ同率だ。

     こうした数値をにらみながら、兵貨協連の制度取得にも関わったトラック事業者が話す。「兵貨協連の時には、協組組織としてほかの食いぶち探しが目的だった。今回のように、現存のト協組織に飽き足りずに行動を起こす目的は、我々の意志をしっかりと集約する組織の立ち上げ。特徴制度はそのためのファイナンスだ」。事業者は、すでに同じ目的意識を持って結集している組織に、特徴義務者の制度を周知していこうとしている。

     別の事業者からも、ト協を離れて別組織を立ち上げたいとする声も複数聞かれるが、一番のネックはファイナンス。
     ある事業者は、「一般社団法人は登記だけで設立が可能になるなど、人は集められるだろうが、問題は交付金。現存のト協以外には交付金は配分されないことが法律に明記されてしまっているから」と話し、会費を高額にせずに組織を立ち上げることが課題となっている。(西口訓生)

     
     
     
     
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