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新トラック運送経営のヒント(24)事故死傷度係数とは
2012年6月22日
昨年秋に転落事故を起こした貸し切りバス会社が車両停止110日の行政処分を受けました。この事故は、走行中にドライバーがくも膜下出血を発症し、対向車線側のガードレールを突き破って道路外に転落したことで、40人が死傷したという内容でした。
報道によると、このバス会社はドライバーに対して健康診断を受診させていなかったということです。ただ、1年に1回の受診はしていたようで、深夜早朝勤務のあるドライバーに受診させるべき「6か月に1回」の健康診断を受診させていなかったようです。違反内容をみると、「乗務員の健康状態の把握が不十分であった」のたった1件だけです。
にもかかわらず、行政処分は110日の車両停止。念のため行政処分基準を確認すると、50%以上のドライバーが健康診断を未受診の場合に「60日」の車両停止、という処分になっています。しかし、結果は「110日」の車両停止です。これはどうしてでしょうか?
実は「事故死傷度係数」がその犯人です。事故死傷度係数とは、重大事故や悪質違反によって死傷事故を起こした場合に死傷者数によって定められた「係数」のことです。
まず、事故死傷度係数を決定する際に「死傷者数」を計算します。今回の事故は1人死亡、2人重傷、37人軽傷という内容です。1人あたり、死亡の場合は1、重傷の場合は0.5、軽傷の場合は0.2で計算します。今回の事故で当てはめると、1人死亡で「1」、2人重傷で0.5×2=「1」、37人軽傷で0.2×37=「7.4」。合計すると1+1+7.4=9.4の死傷者数となります。基準により、死傷者数「8超10未満」の場合は事故死傷度係数は「1.8」。今回の違反である「50%以上の健康診断未受診」の通常の行政処分車両停止60日車ですから、これに×1.8をして108日車。端数処理により「110日」の車両停止になります。
違反点数は10日で1点ですので今回は「11点」になります。では、これがもしトラック運送会社だったらどうでしょうか?原則27点で営業停止になることを考えれば、「11点」はかなり大きなダメージです。たかが「健康診断の未受診」ではすまなくなります。
今回は他業種の事例でしたが、トラック運送会社は他山の石としなければなりませんね。
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