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新トラック運送経営のヒント(25)疾病の予兆を把握する
2012年6月29日
前回に引き続き、昨年秋に転落事故を起こした貸切バス会社の安全管理の問題点と再発防止策についてお話ししたいと思います。この事故については先日、国土交通省が発表した「社会的影響の大きい重大事故の要因分析」でも取り上げられています。
その分析では、事故を起こしたドライバーは、事故日以前にくも膜下出血にかかる何らかの予兆(例えば頭痛や視野が欠けるなど)が出ていた可能性があったのではないか、という指摘をされています。また、ドライバー自身が疾病に関する知識があまりなく、医師の診断を受けるなどの適切な措置が取られていなかったと考えられる旨も指摘されています。再発防止策として、「ドライバーが疾病などの知識の向上を図ることで身体の異常を早期に発見できるようにすること」「異常を感じたら早急に医療機関で診断を受けること」──この2点が提案されています。
やはり、今回の事故で感じたのは「ドライバー自身に健康に関する正しい知識を持たせること」の重要性です。どんな症状が出たら、どんな疾病が考えられるか。このことをドライバーにしっかりと教育することです。例えば「くも膜下出血」であれば「普段感じるよりもひどい頭痛や、突然に始まった頭痛があるか」。さらに、例えば「脳梗塞」の場合であれば「片側の手足がしびれたり感覚がおかしい、物の見え方がおかしい、めまいがする、言葉が出にくいなど」。
つまり、ドライバーだけでなく運送会社としても「病気の予兆」を早めに把握できるかが重要ということですね。病気の予兆の把握とともに大切なことは、病気にならないための「予防方法」について、ドライバーに教育することです。
ただ、これは運送会社が行うのは正直難しいです。産業医などを活用して行うしかないでしょう。産業医の選任義務がない運送会社の場合には、地域産業保健センターを活用するのもいいでしょう。同センターは産業医の選任義務がない会社に対し、さまざまな健康保健サービスを無料で提供しています。当然、健康診断結果で異常があったドライバーに対する措置の意見をもらうこともできます。ぜひとも上手に活用したいですね。
「ドライバーの疾病の予兆の把握」は、ドライバーの平均年齢が高い運送業界にとって必須の取り組みです。
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