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    コンテナ1本20万円補助に疑問の声 神戸港24時間モデル事業

    2012年7月19日

     
     
     

    kontena_0716.jpg 埠頭にコンテナを搬出入するドレージ部分を丸1日開放する、国の「神戸港24時間ゲートオープン」モデル事業で、1本のコンテナを搬出入するのにかかった公費が20万円を超えていたことが分かった。事業を始める以前の段階でも、1本あたり15万円は公費をつぎ込まなければ成立しないと見込まれていたことも分かっている。24時間モデル事業は市場で、日の目を見ないままひっそりと終了している一方、似た方式で午後8時までの限定でドレージ部分を開放する「ゲートオープン拡大」モデル事業は民間である港湾運送事業者が引き継ぎ、継続して進められているという。同じ冠の「モデル事業」の名が24時間事業にふさわしかったのか、検証が求められる。



     24時間モデル事業は国内で唯一、神戸港の「PC18西側共同デポ」(神戸市中央区)で昨年10月31日から今年3月30日までの5か月間実施された。実施主体の近畿地方整備局港湾空港部(同市)によると、経団連などから24時間開放の要請が国にあったことをきっかけに事業化したという。

     事業は、「共同デポ」を管理する港湾運送事業者・神戸メガコンテナターミナル社(KMCT、同灘区)と近畿地方整備局が昨年10月31日に随意契約を締結。24時間のドレージを可能にするために新たに発生する人件費や燃料代などの費用から、KMCT側が利用者負担金として受け取るコンテナ1本あたり2500円の収入を差し引いた金額を、国が補てんするという枠組みで契約された。同局が公表する資料によると、契約金額は5921万9780円。同局港湾空港部は本紙取材に、当初の契約段階で5か月間に搬出入されると予定していたコンテナ本数は400本だった。契約金額を予定本数で割った単価は約14万8000円。

     一方、6月中旬にHPに公表されたモデル事業の利用実績報告によると、5か月間のドレージ利用は286本にとどまった。港湾空港部の担当者は、すでに契約金額のほぼ満額が支払われたことを本紙に認めており、実績単価は約20万7000円に膨らんだ。

     こうした状況について、モデル事業とはいえ公費で補てんする事業の効率性としての疑念がドレージ業界を中心に湧き上がりつつある。「ドレージを実際に行う我々が動かず、荷主の要望も受けていないこの時間帯になぜ、ゲートだけオープンするのか」といった声がモデル事業以前からあり、事業結果が出ることで、さらに疑念は深まっている。

     本紙取材に同部は、「24時間オープンは国内ではどこも実施したことがなく、この実験があるからこそ、もっと効率的なやり方、例えば夜間の利用が多い時間帯に絞ったゲートオープンも今後、考えられる」と話す。しかし、利用時間帯の検証は現時点ではなされておらず、検証作業も「(するかどうか)分からない」(同)と話す。

     24時間モデル事業は、今年4月からKMCTの独自の事業として引き継がれることを前提としていた。しかし同部によると、KMCT側に事業化の義務は契約にはない。非効率を前提とした事業が現実に実施されていたことで、ゲートオープン時間の延長そのものへの疑念も生じかねない状況だ。「もともと民間事業である」(同部)港湾運送事業に、公費による補助を出して24時間化する必要性があったのか。市場がゲート時間帯を決めるべきとする業界関係者も多い。

     同時進行で今年3月末までの2年間以上実施されていたのが、午後4時半から同8時までの限定でドレージ可能としていた「ゲートオープン拡大」モデル事業だ。神戸港のみならず京浜、中部、阪神各地区の港で実施されていた。この事業のうち、神戸港だけをみると2011年度の1年間でコンテナ3万6719本(HP資料より)がドレージされ、同様の公費補填契約金額は港湾運送事業者との九つの契約の合計が約8824万円(近畿地方整備局公表資料)。1本当たりの公費支出額は約2400円の計算だ。

     拡大モデル事業は今年4月から、各事業者が独自に判断し、市場で引き継ぐ形で継続中。事業者に継続の義務は「24時間」同様に課せられていないが、「公費を出す形を2年間取ってきたことで、制度が定着してきた」と関係者。(西口訓生)

     
     
     
     
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