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新トラック運送経営のヒント(34)高い歩合給は魔物
2012年9月7日
「勤務年数が長くなると配車マンの指示に従わなくなるドライバーが増えて困っている」。こんなご相談も時々あります。
事故分析と同じように三つの切り口で考えると原因が見つけやすいです。一つ目は「ドライバー」、二つ目は「管理者」、三つ目は「会社(社長)」です。今回は一つ目の「ドライバー」の切り口で考えてみたいと思います。入社当初は真面目に働いていたのが、勤務年数を重ねていくと配車マンの指示に従わなくなるドライバーが多い、ということでした。誰しも入社当初は緊張しています。また、会社に良い印象を与えて自分の評価を高くしようと思うものです。ところが、数年経つと会社の評価が下がる行動をするようになるのは、一体どうしてなのでしょう?
真っ先に思い浮かぶのが、「歩合給の割合が高いのでは?」ということ。なぜなら、基本給だけでは生活していくのが大変で、歩合給の低い仕事をしていては給料が上がらないからです。その結果、荷主との関係上受けなければならない大切な仕事(ドライバーからすると不慣れで、しかも歩合給が通常よりも低くなるイヤな仕事)を拒否するようになります。「この仕事では今月の俺の給料が下がるじゃないか!」。配車マンにクレームをつけてきます。
入社したてのドライバーはそのことをまだ分からないので、黙って指示に従います。ただ、ベテランの同僚に得意げに言われます。「お前は要領が悪いな。そんな歩合給が低くなるような仕事を受けるからダメなんだよ。俺なんか配車マンにクレームを付けて歩合給が高くなる仕事を回してもらっているぞ」。多分こんな会話がドライバー同士でされていると思って下さい。声のでかい者が幅を利かせて得をする。自分勝手なドライバーの寄せ集めの運送会社が出来上がりです。
深刻なのは「歩合給の割合が高すぎることの弊害」について理解できない社長さんが多いことです。それどころか、「うちの管理者は指導力がない」と間違った判断をしています。これでは管理者は板挟みです。配車マンの指示に従うドライバーを増やしたいのであれば、歩合給の割合を少し下げ、その分を「配車マンに対する協調性」についての評価手当を創設すればいいでしょう。
「高い歩合給は魔物」です。管理者の能力を疑う前に、社長さんのドライバー評価法を疑ってみましょう。
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