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新トラック運送経営のヒント(44)労働法令の改善を最優先
2012年11月22日
車両数170台(うち、被牽引車139台)の運送会社が3日間の営業停止になりました。処分のきっかけは、国道で停車中の乗用車に追突し、車外にいた運転者を死亡させた事故です。亡くなられた方は大変気の毒ですが、事故の内容としてはそれほど特殊ではありません。
にもかかわらず、行政処分としては非常に厳しい「3日間の営業停止」です。監査の結果、判明した法令違反はたったの二つ。「労働法令違反」と「安全教育指導違反」です。しかも安全教育指導違反は「文書警告」ですので、実質的には行政処分はありません。ということは、「労働法令違反」だけで170台、3日間の営業停止になったということです。報道によりますと、1日の拘束時間や1か月の拘束時間、運転時間などの違反件数が「38件」です。これまでの連載でお話ししていますのでご存知だと思いますが、重大事故を起こしたドライバーが労働法令を「31件以上」違反していた場合、3日間の営業停止になる、という処分基準があります。まさに、今回もこの規定に従い処分が実行されたということになります。しかし、今回の違反は38件。?わずか8件?オーバーしただけですが、違反は違反、厳しく罰せられる時代です。このあたりの時代感覚を社長さんが身につけているかどうか。現在、「自動車運送事業者に対する監査のあり方に関する検討会」で、来年度からの安全規制について議論がされています。特に「悪質な運送事業者に対して即時、許可取り消し」にすべき、との意見も出ているようです。まだまだ詳細は不明ですが、一つだけいえること。それは「今より確実に厳しくなる」ということです。特に高速ツアーバスの事故やトラックによる多重死傷事故などの影響を考えると「労働法令」の規制強化は避けられないでしょう。現状でさえ、なかなか改善できない状況ではありますが、新たな規制が出来てしまえば、今回のように車両数が170台あろうとも、処分されてしまいます。許可取り消しの条件に当てはまれば、誰が何と言おうと「許可取り消し」。このような時代が数か月先には待ち構えています。
最優先に取り組むべきことは労働法令の改善です。よそ(同業他社)も改善できていないから仕方ない、と考えるか。よそはよそ、自社でやれることは改善する、と考えるか。社長さんの舵取りが非常に大切な時期ですね。
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