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「防衛運転」で快適走行 疲労度やストレスが大幅軽減
2012年12月3日
「時速80キロ」を厳守して運転すると、走り慣れた高速道路の様子が別モノになる。一般国道などで最近、ペースメーカー車を活用して速度抑制に取り組む例も見られるが、追い越し車線が用意された高速道路では難しい。そこで、いわゆる「防衛運転」にチャレンジしてみると、意外に快適走行であることに気付いた。
11月下旬の月曜日の山陽道上り線(広島東─福山東IC間)。夕方とあって交通量は多かったが、時速80キロで左側車線をキープ。乗用車やバスが追い越し車線を次々と走り去り、こちらの車速がリミッター制限値より遅いために数台の大型トラックにも抜かれた。そのまま追い越し車線を走り続ける乗用車も多かったが、90キロ以上が出ない大型トラックは直後に走行車線に戻ってくるものの、10キロの速度差があるためにアッという間に車間距離が開いていく。80キロで他車を追い越すことは想定していなかったが、静岡ナンバーの大型ウイング車と山口ナンバーの大型ローリー車を、車間距離が徐々に縮まってきたことで仕方なく抜いた。また、妙に遅い2台の4トントラックも追い越したが、ともにドライバーは携帯電話を使用しており、しばらくして抜き返された。
別の日の夕方、今度は福山東─姫路東IC間を走ってみた。相変わらず猛スピードの乗用車や大型バス、4トントラックなどに次々と追い越される一方、この日は141.9キロの同区間で大型トラック4台を追い越した。さらに数台の4トン車も抜くことになったが、やはりドライバーは携帯を使用していた。
同じくウイークデーの中国道(福崎─広島北IC間)。東西に並行して走る山陽道に比べて車両数はグンと減ることもあって、80キロでも抜かれる車両は少ない。山陽道では、80キロ走行でドキッとすることもあったICやSAからの合流ポイントも、交通量の少なさからストレスを感じなかった。
一方、週末は少し状況が変わる。ETC装着車なら終日半額となる土曜日の午前10時、区間は山陽道上りの岡山─姫路東IC間。おそらく70キロくらいしか出ていないキャンピングカーや、シルバーマーク(高齢運転者標識)を張った軽自動車を追い越さなければならない場面にたびたび遭遇。右車線に出れば100キロを超える車両が迫ってくるため、ムダにアクセルペダルを踏み込むことに。
総括すると、80キロをキープして走れば「ストレスがない」「自然と車間距離は開く」など加減速の操作もほとんど必要なかった。わずかな差だが90キロや100キロで走ると、左車線と右車線を頻繁に移動する必要があることもわかった。あえて、ヒヤリハットの場面とするなら「ICやSAの合流地点で80キロ厳守は危険」「さらに遅い車両を追い越そうと右車線に出る場合は、猛スピードで迫ってくる後続車に注意」ということくらい。仮に目的地まで400キロなら、時速が20キロ違えば1時間ほど余計にかかる計算だが、ドライバーの疲労度やストレスは大幅に軽減する。プロとして、自分を守る「防衛運転」が周囲の安全確保にも寄与することを意識したい。(長尾和仁)
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