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適正化指導 事業者によって異なる対応
2013年2月28日
「温情のある合理的な対応と取るか、制度運用が恣意的と取るかは、それぞれの立場で違う」。社会保険の加入を巡る、適正化指導に関するある事業者の見方だ。話の発端は、西日本にあるトラック事業者のもとに、地元ト協の職員が「巡回指導」にやってきたときのことだ。長時間運行の問題から社保の整備に至るまで、多くの指摘を受けたという。
その事業者は、いわゆる下請けの仕事が100%に近いため、受注量がどうしても不安定になりがちだ。それを回避しようとして多くの同業他社に声掛けをするため、あまり気の向かない長距離運行でも受注してしまうといった悪循環から逃れられないでいることなどを説明した。数多く指導項目が並ぶ中で事業者は職員に、「一体、どこから手を付ければいいか」を尋ねたところ、「金を出しさえすれば手続きの完了する、社保の整備からが適当だ」と職員は答えた。
事業者は、年金の受給資格期間の問題などから、これまで加入してこなかった50代以上の従業員が加入しても掛け捨て状態になることを職員に話した。事業者はそのときの会話を、「職員は、『とにかく、40代の社員の分だけでも加入手続きをしてください。50代以上の人はいいですから』と言った。二人いた職員のもう一人が『おい、そんなこと言っていいのか』と慌てたように言っていた」と振り返る。
同じ県内にある別のトラック事業者は数年前、巡回指導で社保加入に関する指導を受けたとき、「高齢者の方も漏れなく加入してください」と指摘された。掛け捨てを嫌がる高齢従業員のほか、若手でも給与の手取り額が少なくなると嫌がる従業員をなんとか説得して、全加入した経緯があるという。
事業者は、「何も体制が整っていない事業者に対する指導と、一定の基準にまで達している場合とでは、指導内容が違ってくるのはやむを得ない」としつつも、「制度の運用手法として適当なのか、どこかで検討することが必要ではないか」としている。(西口訓生)
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