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    計測数値の信憑性に疑問 43号線所管の兵庫国道から告発

    2013年3月28日

     
     
     

     特殊車両を取り締まるための自動計測装置の計測数値の信憑性が疑問視される状態にあり、少なくとも約20年にわたってその状態が解消されていないことが、国道43号を所管する兵庫国道事務所への取材で分かった。同装置は、軸重の超過などの影響で傷む道路を保全する目的もある一方、交通量の多い43号などの地域では、沿道環境に与える影響が大きいとされる。そのため、3月からの特殊車両取り締まり体制の強化については沿道住民と国交省との環境改善の話し合いの場でも交渉材料としてテーブルに上っており、住民側も環境に資する施策として期待する。しかし、現場の兵庫国道事務所には、計測数値の信憑性を向上させるような計測装置の改良予算も施策も示されていないという。



     「43号に流入する大型車の規制が県警の合意がなければできないのなら、違反して流入してくる特殊車両の自動取り締まりを充実したほうが効果的ではないか」「順法で運行する特殊車両との公正さの観点から言っても、違反者には警察と連携して処分を強行する必要がある」。11日に兵庫県尼崎市内で開かれた43号沿道住民と国交省との話し合い。国交省が、違法に通行する特殊車両に対する処分基準を3月から改定したことへの資料を住民側に初めて提示した。住民側からは、自動計測装置を厳格に運用してほしいとの要望が出され、国交省(近畿地方整備局)もそれに応じた。

     全国に39台設置されている複数の同装置が故障していた経緯があるといった会計検査院の指摘(本紙既報)があるが、現状はどのようになっているのか。

     兵庫国道事務所によると、所管する国道2号、28号、43号、171号、175号、176号の6国道のうち、設置されている同装置は43号の尼崎市域(東西に1台ずつ)、芦屋市〜神戸市断面(同)、神戸市灘区域(東行きに1台)にある5台のみ。

     同事務所の広報担当は計測数値の信憑性について次のように話す。「街頭検査など、人力で特殊車両を計量所に引き込む手法は(計測数値など)事実の把握はできるが、計測数値が本当かどうか事実認定できない。自動計測装置による手法では指導・警告まで持って行きづらい。現在、安定した運用状況になっているかどうかは、今の段階で把握できていない」。

     担当者は続ける。「(阪神大震災前の)約20年前、三重と奈良の県境の国道の西行きに同装置が設置されたが、計測誤差が大きすぎてなかなか適用できなかった。同数値を担保するための予算付けの話が2008年の『ガソリン国会』であったが、これまで付かなかった。しかし今回、(違反車両の処分基準の取り扱いが改定され)出された以上は予算も付くのだろうと思っているが、実際に予算が付いたとか同装置の改良施策が示されたなどということは一切ない」。

     担当者の話から分かるのは次のようなことだ。同装置の機械としての信頼性が担保できなかったため、指導や警告などの措置を躊躇する国交省内部の事情が少なくとも20年以上前からあったこと。そして、同装置を改善する立場にある国道事務所の現場には予算も施策内容も示されていない。

     事務所内からの告発について同国道事務所の鳥奥博良副所長は、「今回の処分基準の改定は、是正指導書を手渡すなど指導に重きがある。違反事業者名を公表するなどというのはそこまでいかないようにという基準を示したものであり、特に警察に告発していくなどということでもない」と話している。また、同装置が正常に稼働しているのか否かを外部からも見えるようにするため、違反認知件数や指導件数の公表について同副所長は、回答を留保している。

     ある関係者は、「沿道環境問題は、トラック事業者と住民との対立と見えがちだが、税金を使った公の機関がやれることを放置してきたための帰結ともいえる例だ」と、道路管理行政の在り方に言及している。(西口訓生)

     
     
     
     
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