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新トラック運送経営のヒント(74)「運送引受書」を積極活用
2013年7月11日
「千里の道も一歩から」。「運送引受書」の作成保存が義務化される見通しです。今考えられている運送引受書への記載義務は次の通りです。
?事業者の名称、連絡先等?委託者の名称、連絡先等?委託日、受託日?運送品の概要?車種別の事業用自動車の数?貨物の積み込み及び取り下ろしの地点及び日時?運賃及び料金の額?運賃及び料金の支払い方法?付帯業務の内容?その他特約等–。なぜ今、この「運送引受書」の作成に国交省がこだわるのか? このことを考えることがとても重要です。
一番のポイントは、?「貨物の積み込み及び取り下ろしの地点及び日時」の記載です。運送を委託する者も、委託する運送が何時間要するものかを把握し、受託する運送会社に対して過労運転などの無理な依頼内容になっていないか、改めて確認する必要性を求めています。今までのように、重大事故を委託した運送会社が起こした時に「知らぬ存ぜぬ」では済まされない状況になるかもしれません。元請け運送会社が下請け運送会社に対して無理な運行依頼をしている場合には、同じ管轄の国交省として、元請け責任を含めて監査が入る可能性も高くなります。
一方、真の荷主(運送事業者ではなくメーカーなどの企業)はどうでしょうか? こちらも今までのように対岸の火事、というわけにはいかなくなるでしょう。なぜなら「荷主に対する勧告」を発令しやすく法令改正がされるからです。貨物自動車運送事業法64条には、運送会社に対する行政処分だけでは再発防止ができないおそれがある場合には、その依頼主である荷主に対して「勧告(社名公表を含む)」を国交省が行うことができることになっています。
この勧告制度で過去にうまくいった事例があります。それは「過積載」の防止です。平成元年前後には、過積載違反を行う運送会社が非常に多くありました。この「勧告制度」を活用することで、十数年の間に常軌を逸するような過積載は本当に少なくなりました。今後、おそらく「過労運転」に対する勧告発令も今までよりは増える可能性が高いでしょう。
運送会社側からも荷主に対して、勧告制度を上手に情報発信して、労働法令違反の改善をしていくことが大切です。いつまでも指をくわえて荷主の言いなりでは能がありません。かの名監督である野村克也氏も「監督の最大の仕事の一つは危機管理だ」といっています。運送会社の社長の仕事も同じ。危機管理なき経営は無謀です。
「荷主に対する戦略的な情報発信」。千里の道も一歩から、です。法令改正は受け身ではなく、積極的に活用しましょう。
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