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    改善厳しい長時間労働 労基・行政小手先の指導で問題そのまま

    2013年9月17日

     
     
     

     厚労省は、自動車運転者の1日の拘束時間を13時間以内とし、これを延長する場合でも最大で16時間を限度としている。1か月の拘束時間は293時間以内で、年間の総拘束時間は3516時間を超えないことを条件とし、労使協定により6か月を超えない範囲内において、1か月の拘束時間は320時間まで延長できると定めている。しかし、現状の運送事業者で同拘束時間を守れる運送事業者は少ないのも現状のようだ。



     神戸市の運送事業者は現在、毎月のように労基署を訪れ、ドライバーの日報を持参して、監督官に労働時間の改善を指導されている。社長自身もここ数か月間、毎日労働時間ばかりを気にして、心身ともに疲れた表情で「本当に運送事業を辞めれるものなら辞めたい」と語る。

     同社は食品を各スーパーの物流センターなどに納めている。荷主企業も大手食品メーカーであるが、一部の商品が出来上がらなければ、物流センターには納められない完全な集約作業であるため、毎日のように全商品が出来上がるまでの待ち時間が増加。

     さらに、食品配送では同社以外の商品を積み合わせて配送していることもあり、冷凍・冷蔵倉庫などでも数時間の待機が増えた。数か月前、一部のドライバーが労基署に駆け込み、労働時間の改善を求めたことで、労基署が数か月前に立ち入り調査。同社の労働時間が一部、15時間に及んでいたことから、同社では改善を図るために毎月労基署に日報を持参して指導を受けている。

     しかし、同社の労働時間は簡単に改善できず、労基署の担当官から心ない言葉を投げかけられることも多い。担当官は「改善が出来なければ荷主の仕事を辞めて別の荷主の仕事を考えてみては」と簡単に言い放ち、荷主に対して改善策を考えるなどの措置は行わない。さらには同荷主企業や食品輸送全体の改善を考えず、問題をそのまま再び他の運送会社に移行しても構わないといった言い方であったようだ。

     労務問題に詳しい経営コンサルタントは「行政は問題の根本を解決する気は一切ない。同様の事例で、過去に中部地域で拘束時間が長いことを理由に、顧問先の運送会社は労基署から改善命令を受けた。しかし、同社も荷主企業での待機時間が長いことから、改善は困難とすると、同監督官は、同荷主との取引を辞めるなどの措置を提案してきた。荷主に対して、対策や警告などは一切行わず、荷主との取引を辞めてしまえば問題は解決するとの考えに猛抗議。また別の運送事業者が取引を行えば、同荷主の待機時間の改善は図られず、いつまでたっても労働時間の改善にはならないと吐き捨てる。その後、監督官は同社に対して改善を求めなかった」と説明する。

     また、「監督官庁や行政は今、違法行為を改善できないところは閉鎖・廃業させようとふるいにかける状態。一方では規制緩和で新規を増やすが、一部では許可の取り消しなども増加している。このため現在の運送事業者はまさしく生き残りをかけたサバイバルの状態に置かれている」と行政の在り方、政府の進め方にも大きな問題があることを指摘。
     最後に同氏は「運送業界の長時間労働を改善するには、24時間体制の社会をなくす、大手企業への規制(待機時間の規制)、ツーマン運行の実施、この三つが必要だ」と語った。

     
     
     
     
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