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    消費税率増は転嫁カルテルで対策 運送業は届け出なし

    2013年11月20日

     
     
     

    truck2_1118.jpg 「取引の円滑化」「事前に役所に届け出る」「供給側による共同行為」。そうした共通のキーワードで結びつけられる二つの制度がある。運輸業界にある「燃料サーチャージ」と、来春から税率が引き上げられる消費税の転嫁だ。消費税に関しても事業者または事業者団体が独占禁止法に違反することなく実施できる「転嫁カルテル」が認められてはいるが、10月末までに届け出た団体は5団体に留まり、運輸業種からはまだ届け出がない。届け出通りに実際に行動できるか否かの各段階で、「デフレマインドからの脱却」は実現するのか。



     価格高騰分がトラック事業者の自助努力でカバーしきれないとして、5年前に設けられた「燃料サーチャージ緊急ガイドライン」。商行為である以上、契約の自由のもと運賃・料金は合意によって自由に決められるというのが基本原則ではあるものの、現実との乖離を埋める位置付けで、公取委などとも協議して設定された。

     ただ、サーチャージの額を実際に上乗せして請求できるかどうかは、制度上まったく保障されていない。今年3月の全ト協調査では、「一部転嫁できている」「ほぼ転嫁できている」事業者は全体の12.2%に過ぎない。そのなかでも転嫁できた割合に至っては、約6割が燃料上昇額の2割未満分しかできていないと答えている。事業者らが、「制度はあっても実際に転嫁できないのでは絵に描いた餅」と口にする姿は至る所で見られる。

     消費税率のアップに伴い、公取委が11月から公表したのが「転嫁カルテル」の届け出状況だ。10月末までに「塩元売協同組合」「日本産業・医療ガス協会」など5団体が届け出た。公取委によると、各事業者がそれぞれ決めている本体・サービス価格に消費税分を上乗せする内容の決定をした場合、公取委に届け出ることで成立する。カルテルそのものを合法化することの位置付けについて近畿・中国・四国事務所消費税転嫁対策調査室の担当者は、「消費税は転嫁されるべきものだから、国全体で進めていこう」と、カルテルの正当性を説明している。

     燃料サーチャージでも問題になった、転嫁する事業者と転嫁しない事業者とでは、取引相手先にとっての優位性に違いが生じる問題、つまり、「抜け駆け」する事業者の問題についてはどうか。担当者によると、「そもそも、届け出る団体の総会決議などの書面は、届け出要件としていない」と話すなど、団体の決定に反して「抜け駆け」する事業者の行為には行政はノータッチの姿勢だ。

     消費税転嫁カルテルは1989年の税創設時に制度が設けられたが、5%に改定された97年には制度が設けられなかった。担当者は、「デフレマインド克服のために一丸となる施策の必要性があったのでは」と話している。運輸業界の協同組合幹部によると、今年9月頃に転嫁カルテルの導入を検討するよう組合員に呼びかけたものの、「必要性を感じていないようだった」と話す。幹部は、「もう少し制度を理解してもらって、消費税の転嫁対策を進めるべきだと思う。燃料サーチャージのように制度はあっても転嫁できないという状況にならないか心配だ」とも話している。

     
     
     
     
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