「安全を得たかったら、時間を掛けること。自分のプライベート時間も含めて犠牲になるが、犠牲なくして安全は得られない」。兵庫県内の運送事業者は安全確保に関する自身のポリシーを端的にそう表現する。

　Ｇマーク取得や運輸安全マネジメントへの取り組みを比較的早い段階から実行し始めた。しかし、?カッコ付きの「コンプライアンス」?といった感覚から抜け切れないまま時間が経過した。だからといって、「コンプライアンス」を批判するだけでいると、やはり社内に緩みが感じられることも。「コンプライアンス」と「反コンプライアンス」の中道を模索した結果の言葉が、「時間」「犠牲」だった。

　「例えば、帰社したドライバーが必ず、私のところを通過しなければ点呼が受けられないような事務所のつくり。ひとこと、『元気そうやな』『疲れてるんか』と私自身が声掛けできるのと、そうでないのとではドライバーのやる気や落ち着きが変わってくる。その結果、安全が確保できるということが分かってきた」。

　そうした姿勢がおのずと従業員全体に伝わるということも、「コンプライアンス」対「反コンプライアンス」の中から得た教訓だという。