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トラック盗難被害増加傾向 盗られる前に対策を
2013年12月12日
「盗られてからでは遅いので、運送業界全体で危機意識を持つ必要がある」と警鐘を鳴らすのは、ユニック車による重量物運搬を得意とする伊藤ハウス(伊藤和年社長、愛知県田原市)の荷役事業部・伊藤佳恵部長。以前から多発しているトラックの盗難や車上荒らしに警戒感を強めているという。過去に自社での盗難被害はないが、「ト協やメディアを通じての情報は聞いているが、同地区の同業者が車上荒らしに遭ったことで、身近に感じたのがきっかけだった」と語る。
警察庁統計の自動車盗難認知件数の年別推移を見ると、平成15年の約6万4000件をピークに年々減少し、今年度の10月現在で約1万8000件で推移している。しかし、特定の地域では被害の増加が顕著に現れており、都道府県別自動車盗難認知件数の順位は、千葉、愛知、茨城、大阪、埼玉と続く。いずれの県も前年比を超えるか、それに近い数字となり、要因として考えられるのは、?規制緩和された中古車輸出手続きを悪用した不正輸出?法改正により減少した暴力団の新たな資金源?安全神話の根強い日本人の隙に付け入る不良外国人の存在──などである。伊藤部長は、「未然の防止策として、やれることは何でもやる」と自社の具体例を説明する。ユニック車が車庫へ戻れば、ユニックのブームを最大に上げることから始まり、ハンドルロック・輪留め・出入り口の車止めポール・アウトリガーの張り出しなど。さらに万全を期すために、トラックにGPSを搭載して警備会社との連携や、トラックが動かない週末などは、車止めのポールにカギをかけ、簡単に下げることが出来ないようにする徹底ぶりだ。保管場所も住宅地の中で、夜間も適度な明るさがあり盗難抑止にもなっているようだ。「相手も『プロ』なので、簡単な防衛策はあまり意味がない。5分以上かかりそうと感じれば、窃盗団は諦める傾向にあると聞いたので、こちらの防犯意識をアピールして盗難意欲を喪失させる狙いもある」と話す。
高品質の日本製のトラックや重機は、発展途上国で高く売買されるという。窃盗団が迅速に解体したトラックは原型を留めず、検挙率が低い点から見ても、被害に遭うと泣き寝入りするのが実情だ。被害金額も数千万円に上るため、倒産に追い込まれる場合も少なくない。最後に、「当社の取り組みを全国の運送会社で役立ててほしいと考えている。自分たちの会社は自分たちで守るしかない」と力強く締めた。
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