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    新春 間違い探し劇場 広島?東京間ドライバーの日常

    2014年1月9日

     
     
     

    shinya_0101.jpg 昨年のフィクション劇場とは趣向を変え、今年は「ここがオカシイ」と感じてスッキリの間違い探し劇場。広島〜東京間を定期運行するドライバー・向田圭介(仮名、45歳)の日常の、どこに問題が潜んでいるのか。幾多の安全・労務規制が重なり、悩ましい管理業務と向き合うトラック運送事業の関係者にズバッと指摘していただきたい。



     休み明けとなる月曜日の午後2時。シャワーを浴びて作業服に袖を通した圭介がキッチンのほうに声を掛けると、手さげ袋を持って妻の恵理が出てきた。会社までは愛車の軽自動車で30分ほどだが、そこから20キロ離れた積み込み場所へ午後4時までに着かなければならないため、そう余裕はない。受け取った愛妻弁当は、たっぷりと用意された待機時間に食べるのが習慣になっている。

     ただ、最近は夜食が必要なほど荷待ち時間が長くなっており、広島を出発するころには日付が変わっていることも珍しくない。広島ICから流入し、めざす東京へは午前11時にたどり着きたいが、リミッターが取り付けられた大型トラックで800キロ道のりを駆けるには、単純計算で9時間近くかかる。「4時間の運転で30分の休憩を取るように」という会社の指示を意識しながら、絶対に目標とする時間に到着しないといけない。それが圭介の仕事だ。

     以前は、東京の荷下ろし先は1か所だったが、荷物の小ロット化や物流効率化という名目で、昨年から3か所を回ることになった。しかも、3か所目には午後2時までに入らなければ「積み込みのトラックを優先する」という理由で待機させられ、そうなると帰り荷をもらう荷主の「午後5時までに来てもらわないと困る」という注文に応じられない。何がなんでも午前11時までに東京へ到着しないといけない焦りから、かつてリミッターを解除する方法を研究したこともあった。

     帰りの荷物を積み終えた圭介は、途中にあったコンビニに立ち寄って食料などを買い込み、めざすは高速道路のSA。点呼を兼ねて会社へ業務終了の電話を入れ、運転席でコンビニの弁当を広げたのは午後10時を回っていた。恵理の弁当を食べて以来の食事となるが、食後を襲う睡魔には勝てないという経験から、いまでは仮眠を取ると決めた場所でしか食べ物を口にすることはない。

     広島〜東京間の運行は翌々日着が基本だが、全線で高速道路を利用するケースなどでは翌日着もある。圭介の場合、全線分の高速料金が運賃と別にもらえる往路だけでなく、高速代が一部しか出ない復路も翌日着の強行スケジュール。ただ、運行指示書の作成など煩わしい管理業務が増える2泊3日以上の運行を避けたい会社の思いや、広島への到着が午後5時で構わない帰り荷の条件もあって、不足分の高速代と食事補助を合わせた運行費を会社が支給。おかげで帰りは高速のSAで5時間ほど眠れる。

     いつも立ち寄るSAは決まっているが、「きょうも満車か」と圭介。とはいえ、すぐに空きスペースが見つかることもわかっている。ほどなく数台のトラックがヘッドライトを点灯し、高速本線への合流路に向かい始めた。時計は午後11時55分。深夜割引で通行料金が半額になる午前0時を待つため、目的地の手前にあるSAで時間調整するトラックは後を絶たない…。

     圭介の日常には貨物運送事業法や、労働基準法に抵触する明らかな問題点が多く存在することは否定できない。一方、仮眠の前にしか食事を採らないというのも健康的には問題で、立場が違えば間違い探しの視点も変わるだろう。食後に睡魔が襲ったとしても休憩すれば済む話だが、疲れていないときに強制的に30分の休息を取らせ、本当に眠くなったときには先を急がなければならない現状は危険極まりない。さらにいえば、ただでさえ過労状態のトラックドライバーに、高速料金を安く済ませるための時間調整をさせる現行の料金体系にも大きな間違いが潜んでいる。

     
     
     
     
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