一昨年の関越道ツアーバス事故以降、運送事業者に対して労基署からの抜き打ち監査が頻繁に行われている。先日も関西の運送会社に担当官がアポなしで突然に訪問。「日報とタコグラフを調べさせてもらいたい」と話し、調べる資料の対象者は運転者全員ではなく、「仕事を『一番頑張る』運転者」のものを要求してきたという。

　運送会社社長は言われるがままに同社で月の売り上げが一番多い若手運転者の日報とタコグラフを提出した。担当官は、結果は後日報告すると告げ、資料を持って帰って行った。

　数日後、担当官が再び訪ねてきたが、月の拘束時間、休息期間、連続運転時間で改善基準告示違反があると指摘。改善を求めてきた。

　同社長は現在、運輸局の監査対策に神経をとがらせているが、「『一番頑張る』の意味がやっとわかった。運送業で一番頑張る人は、一番長い時間働いてくれる人。改善基準告示に違反する可能性も高くなってくる。運賃が低迷する中で、売り上げを上げようとすれば、労働時間は自然と長くなる。頭の痛いところだ」と話していた。