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    運送業界の永遠のテーマ「事故ゼロ」への近道は

    2014年2月10日

     
     
     

    truck2_0210.jpg 諸説あるが、人類が初めてハンドルを握ってから約250年が経過しようとしている。当時、フランスで製作された車は、前輪荷重が重すぎて旋回が困難なため、時速3キロという速度にもかかわらず、パリ市内で塀に衝突した。これが自動車事故の第1号となったという記録が残っている。現代では、動力性能の飛躍的向上で速度が出しやすい部分もあるが、それに並行して様々な安全装置の開発・車体構造の強化など日進月歩の技術革新を遂げている。ハード面では着実に成果を残しているが、一向に交通事故は減ってはいない。事故防止に向けての国交省、全ト協・各事業者の取り組みを見ていきたい。



     事業用トラックの交通事故における近年の動向について、警察庁の平成24年度「事業用トラックの交通事故及び死亡事故の件数」によると、人身事故は2万3539件、死亡事故は388件(死亡者数は少なくとも件数以上)としている。

     資料によると確実に減少傾向ではあったが、事業用トラックの安全について策定された国交省、全ト協の「総合安全プラン2009」以降の推移は横ばい傾向であり、平成24年度の死亡事故数は増加に転じている。中間指標として定められている「2013年に人身事故件数2万2000件以下、事故死者数330人以下」の結果については待たれるところである。

     国交省の取り組みとしては、「安全規制の強化」と「事業者の安全管理レベルアップの支援」の二本柱で進めている。昨年の監査方針および行政処分基準の改正で重大かつ悪質な法令違反に対して厳しい処置を行う方針が明確化された。支援の面では、運輸安全マネジメントの推進や安全教育の実施にあたっての参考マニュアルの発行、ドラレコなどの安全機器の導入に対する補助金の交付などである。

     全ト協は、安全性向上に向け、事業者を支援する様々な取り組みを行っており、マニュアルやセミナーが充実しているのが特徴と言える。安全投資の面でも、機器導入や助成も実施されている。

     実運送を担う事業者は何をしなければならないのか。法的な観点から見れば、前述した監査方針などの最新法令について熟知し、無駄な不利益を被らないようにしなければならない点、法令順守の徹底を積極的に開示し、荷主はもちろん、行政や一般社会に対しても安全性をアピールすることも重要である。

     しかし、最も重要視しなければならないのは、ドライバー単位での教育である。事故防止に関しては様々なアプローチの仕方があり、独自の活動を行っている事業者もいる。

     ?事業規模や開催施設の問題はあるが、社内でのドライバーコンテストの開催。技術的な向上はもとより、ドライバー個々で安全に対する意識を再確認し醸成される?会社から全従業員に携帯電話を配布し、運行当日の天候状況や道路・事故状況、自社で起こった事故の速報などを一斉配信したり、休憩時のドライバー同士での情報交換などに利用させる。全社員で情報を共有化することで、事故に対する意識を高めて社員間の絆を深める?頭ごなしに「事故をするな」と言うのではなく、運ぶ商品の特性や事故時の損害賠償額、荷主との信用失墜に対する自社の損害を丁寧に説明するなどである。

     各事業者で取り組みは多様であるが、ドライバー不足の中、優秀なドライバーを確保することは極めて難しい状況であるだけに、視点を変えて在籍する従業員をプロドライバーに育て上げるも一つの策ではないだろうか。優秀なドライバーこそが「事故ゼロ」へ向けての近道だと考えるからである。

     
     
     
     
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