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車両不足に打つ手なし 元請けが下請け行脚
2014年2月13日
「あと2年、いや1年もすれば物流業界は大きく変わる」。トラック輸送の供給力不足が顕著になりだした昨年後半から、こうした運送関係者の声が広がりを見せている。下請け事業者の元に、元請け事業者が出向いて協力を懇願する姿も増えている。ただ、「間違いなく仕事を出すから…と増車を求められても、急に仕事が減った場合にウチを優先して使ってくれるかは疑問」というのが下請けの本音。トラックを集めるために?持ち出し?で運賃を上乗せする元請けや取扱事業者も目立つが、「運賃アップが本物になるかどうかは双方の体力勝負。安売りする事業者が現れないことを祈りたいが…」との懸念もある。
「あんな大きな運送会社の経営トップや幹部連中が、自ら協力会社を回って増車を求めたり、付き合いのないトラック事業者に新規取引を打診するなんて信じられない。それほど現場は深刻ということなのだろう」と、建設資材や素材関係を手掛ける岡山県の運送経営者は驚きを隠せない様子。同様の?勧誘?を受けたという実運送の事業者は複数県にまたがって見られる。取引のある下請け社長によれば「運賃は悪くない。ただ、積み込みや待機に要する時間が長すぎて、ドライバー2人分の人件費をもらわないと合わないが、そこまでの運賃ではないのが実情だ」と打ち明ける。例に漏れず、同社も増車の要請を受けたというが「消費税が上がる4月以降の荷動きが不透明な状況では、『ハイ、わかりました』とはいえない。仕事が減れば真っ先に傭車を削るのは当たり前」と話す。
取扱専門の事業者、いわゆる水屋の業界でも傭車トラック探しが一筋縄ではいかなくなっているようで、兵庫県に事業所を持つ関係者によれば「去年の11月ごろから完全に儲けゼロの状態。荷主の手前、トラックが見つからないといえるわけもなく、3万円の運賃を4万円、4万円なら5万5000円に持ち出しで上乗せするケースも少なくない」との事情を明かす。前日までに傭車先の会社名やトラックの車番、ドライバーの連絡先などを荷主に伝える必要がある業務も多いが、そんな注文を付けている場合ではない状況であることは「その日の午後になって『きょうの宵積みに入ってもらえないか』というような、あまりにも常識外れの仕事依頼が増えている」というトラック事業者の声を裏付ける。
一方、「粘り強く交渉したことで運賃が20%アップになったのに、間もなく元の値段で同業者が営業をかけて横取りされてしまった」と苦虫をかみ潰した表情の岡山県の運送社長。「適正な運賃に引き上げるラストチャンスという意識が業界内に出始めているなかで、まったく信じられない」と続ける。
さらに社長を落胆させたのは、仕事を奪い取ったトラック事業者が取引のある会社だったこと。「その値段でもウチならやれる…そういわれれば商売だから仕方がないが、長い待機時間なども含めた労働時間を考えると、それに見合った賃金をドライバーに払えるとは到底思えない。トラック業界の原価意識レベルは、まだまだ低すぎる」と嘆く。
「日ごろから傭車の利用は最低限に抑えている」と兵庫県の運送社長。大手食品メーカーの元請けの立場だが、「傭車に頼ることは大切な部分でもあるが、ウエートが大きいと閑散時の対応に苦慮する。見殺しにできないし、自社便より優先させることも実際には難しい」と指摘。そのうえで「知人の会社がこのほど、元請けだった大手の運送会社を押しのける格好で荷主と直取引を始めることになった。安定した輸送力を確保したい荷主と、ピンハネを消すことで実質的に運賃をアップさせたい下請け事業者の思惑が一致した例だと思うが、そんなケースが今後は増えるように感じる」と話している。
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