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    予想できた社保滞納? 入る・払うは別問題

    2014年5月1日

     
     
     

    truck3_0428.jpg 社会保険料の滞納を続けるトラック事業者を対象にした年金事務所による調査、運賃の差し押さえ事案が珍しい話ではなくなっているようだ。調査されるのがトラック事業者なら、協力を要請されるのも同業者。社会保険に加入しなければ行政処分が待っているというトラック運送事業の事情がある一方で、台所状況の悪化によって厚生年金保険料などが納められないケースが滞納増加の背景になっているとの指摘もある。実際に傭車運賃の差し押さえに応じた経験がある運送A社の経営者によれば「商売仲間で旧知の間柄とはいえ、国税徴収法をかざす相手に逆らうわけにはいかなかった」と話している。



     「その下請け事業者に支払いが残っていた傭車代は全部で200万円くらいだったが、年金事務所から紙(要請書)が届いたら拒むことはできない。ウソをついても、向こうは権限で金融機関を調査済みのはず。ヘタな行動を取れば、銀行に対するウチの印象を落とすことになってしまう」とA社の社長。取材するなかで、こうした経験を持つトラック事業者が少なくないことに驚かされた。

     差し押さえに至る一歩手前と思われる「照会書」が、仕事を発注した側のトラック事業者に届く例も見られる。書類には滞納事業者の名前や住所のほかに、債権額(下払いの運賃など)と支払い予定日、支払い方法のほか、逆に下請け事業者から受け取る金銭(債務)があるか否かといった部分について回答が求められている。過日、照会書を受け取った運送B社の社長によれば「いまは(その滞納事業者と)取引がないことを伝えたが、恐らく金融機関をはじめ関係先をシラミ潰しに調べているということだと思う」と話す。

     他産業に例を見ない形で平成20年7月から、トラック運送事業では新規許可条件の一つに社保加入が追加され、未加入の既存事業者については同月以降、違反行為として行政処分されることになった。1年目の処分数は全国で67件にとどまったものの、2年目には3倍強となる同210件に拡大。このころから「社保に入らないと大変なことになる」というムードが業界に広がったことで加入率が一気に高まったものの、その一方では「賃金や燃料代の支払いに追われ、つい後回しとなる保険料が滞納してしまうケースも多いように映る」(A社社長)との指摘もある。

     年金行政に詳しい関係者によれば「デタラメが問題となって崩壊した社会保険庁の後継組織として誕生した以上は、日本年金機構も『ひと味違うところ』を見せないといけない。そういう意味もあって強め(差し押さえなど)に出ているのかもしれないが、本気で保険料を徴収しようとすれば倒産が相次ぐことも予想される」との懸念を示している。

     
     
     
     
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