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バス事業で高額な新運賃設定 同じ陸上輸送の運送業「蚊帳の外」
2014年5月12日
軽油価格の高騰や人件費の上昇、安全対策のための費用など様々なコスト増が続くなか、「人手・車両不足でも、忙しくても、なぜ運賃が上がらないのか…」と嘆く運送事業者も多い。一方で、バスやタクシーに関しては届け出運賃であるものの、上限・下限が設けられ、4月1日からは実質運賃の値上げとなり、バスでの新運賃での届け出(貸切バスなど)を行うための説明会が近畿運輸局で行われた。
大阪府でバス事業と貨物運送事業を展開する運送A社も、同説明会に参加した。バスに関して1?走行あたり上限・下限の価格が説明され、それに加えて時間での運賃計算式が報告された。さらにツーマン運行では、関西から関東への輸送は大型バスで約40万円(ツーマン運行で約10万円が加算された運賃)となり、今まででは考えられないような高額な運賃設定となった。A社は、「バス事業では今後利益が得られるが、トラック事業に関してはなぜ運賃の設定がなされないのか」と不満を漏らす。同じ輸送である貨物に関してはなぜ、バスやタクシーのように上限・下限の設定が設けられないのかと近畿運輸局貨物課に尋ねると、「平成15年に法令で定められ、トラックに関しては事後届け出という形。バスやタクシーは届け出運賃ではあるものの、以前から上限・下限が定められており、今回は新運賃が設定されたことで説明会が行われた。トラックに関しては値上げや上限・下限設定などについての本省からの通達などはない」と話す。
A社にこのことを報告すると、「適正化機関にも確認したが、『貨物運送と旅客は人と貨物という違いから運賃の設定が大きく異なる。人を安全に移送する旅客は運賃が高く、値上げとなったが、貨物に関しては?物?の輸送で、基本的に値上げは行われていない』と回答していた。しかし今後、トラックも業界、団体を挙げて運賃の値上げを求めていかなければ、ますます人材確保は困難となるだろう。これから年末などの繁忙期が訪れれば、3月末以上にトラックは足りない状態になる。団体も人材不足、さらには車両不足を専門家などに依頼して、実証性のある数字を提出していくべき。運賃値上げがなされなければ、安全な輸送は行えない。そのことを国や荷主、国民に強く訴えていくべき」と語った。
バスとタクシーは今まで運賃の下落で大変な状況であったが、今後は安全面を考慮した形で運賃が設定される。しかし、同じ輸送業であるトラックに関しては、事業者の立場を代弁すると?蚊帳の外?という印象が強い。ドライバーなど労働者の生活を守るためにも、貨物運送でも運賃の値上げによる安全な環境づくりを国に求めたいものだ。
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