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バス運賃改定に学ぶ 運送事業健全経営方法「トラックと天地の差」
2014年12月1日
バス業界は高速道路での悲惨な事故が発生したことで、さらに安全性が求められている。今年4月、国交省は貸切バス運賃について各運輸局が公示した運賃・料金の上限・下限を制定し、公示運賃の幅の中で運賃を決定して届け出なければならないとした。下限運賃以下で運行した場合は届け出運賃違反として行政処分の対象となるなど、健全な経営が求められている。
この結果、バス業界では大幅に運賃が上昇し、コンプライアンス経営が図られるようになった。低額運賃のために車両の維持が危ぶまれたバス事業者も、今回の改定で経営を持ち直すなど業界関係者からは喜ばしいとの声も聞こえる。大阪府堺市でトラック運送事業とバス事業を展開するA社は「トラック運送事業ではドライバー不足、燃料費の高止まり、安全・環境対策によるコスト増加が続いていても、いまだに運賃を下げて走る運送事業者が多い。この結果、社保や年金、雇用保険などに一切加入せず、名義貸し同然で運送事業を営み、低額な運賃でドライバーを使うなど、コンプライアンスや安全性を無視した運送事業者もいる。制度改定前のバス業界も安い運賃で客の取り合い合戦を行い、大阪?東京への高速バスツアーが1人3000円程度という低運賃で走行しているところも多かった。バス運賃が大幅に値下がりした結果、死者を出す重大事故を多発させた」と語る。また、トラック運送事業について「報道されていないが、死亡事故が多く発生している。適正な経営環境のためにも、バス事業のように国が運賃を設定し、上限・下限の幅で届け出運賃とさせて運営することで、ドライバーの生活安定、会社の健全経営が確保される。そうなれば交通事故撲滅にもつながるはず。バス事業はたった半年で大きく変わった。トラック運送事業も上限・下限運賃の制定が必要」と訴える。
同社によると、バス運賃は地場の大型バスの運行で今までは4万円程度だったが、現在では7万円程度となり、苦しい経営を強いられていた同業他社が1年足らずで経営が改善されたという。小型バスでの貸切運行をしていた同社も、来年度は大型バスを導入するなど、運賃の値上がりはバスとトラックとでは天国と地獄ほどの差がある。
また、同泉大津市でトラック運送事業を展開するB社でも「取引先の飲食事業を展開する企業が、バス事業への参入を計画しているが、現在では規制強化となっているため許可を取得するか譲受するか必死に考えているようだ。バス業界でもトラックと同様にドライバーは不足しているが、トラックと違い、女性ドライバーの参入も増えているようで、力仕事が必要なトラックよりは人材確保のハードルは低い。トラックで大阪から関東まで往復しても運賃は20万円足らず。バスであればその2倍以上はあるため、当社もバス事業に参入したい」と話すなど、トラック運送事業者や、他業種からもバス事業は魅力ある業界事業になってきたようだ。
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