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運転者不足の福音となるか 外国人材受入れ見直し検討
2017年11月24日
日本商工会議所(三村明夫会頭)は16日に開いた常議員会で、「今後の外国人材の受け入れのあり方に関する意見」をとりまとめた。年々増加する外国人労働者の受け入れについて「抜本的な検証・見直しを行う必要がある」と主張。現在、法律で禁じられている「単純労働」分野も視野に「より開かれた受け入れ体制」の構築を求めている。
同商議所では11月末までに、厚労省、法務省など関係機関に「要望」として提出。今後は、業種ごとの議論を各地で展開する方針で、トラックドライバーについても議論していくという。物流業界の深刻なドライバー不足に果たして「福音」となるのか。今後の動向が注目される。意見書で、トラックドライバーなど「単純労働」として受け入れが認められていない分野は「非技術的分野の受け入れ」として、「これまでの原則に縛られない、企業の実情や今後のわが国経済を見据えた体制」の構築を要望。韓国が2004年から「雇用許可制」を導入し、単純労働に従事する外国人材の受け入れを可能としたことなどを紹介している。また、日本で2007年6月に成立した「改正国家戦略特別区域法」では、農業で外国人材が就労できるよう見直しが行われたが「成果が明らかになった場合は、全国的に当該規制を緩和することが望ましい」と強調。こうした取り組みを「農業に限らず人手不足に直面している他の産業についても特区事業として実施する」よう求めた。
担当する日本商議所産業政策第2部は「運輸、建設など深刻な人手不足の業界も含め、各地の商議所で聞かれた多くの意見を基にとりまとめた。今回は総論だが、今後、各地で業種・業態ごとの議論を展開していく」と説明している。意見書は、人手不足問題が「かつてないほどの危機に直面」する中、外国人労働者は年々増加し、2016年10月末には100万人を突破したと指摘。今後、より多くの外国人材を受け入れるため?「より開かれた日本」の実現に向けた、新たな受け入れ体制の構築を政府で検討する?就労が認められている現在の在留資格について、より積極的に外国人材を受け入れるため早急に検証・見直しを行う、の2本柱で構成。
現在、日本で外国人が就労するには、28種類ある在留資格のうち、「就労が認められる在留資格」(18種類)の付与が前提だが、在留資格別に見ると、「身分に基づく在留資格」(日本人の配偶者など)を除き、「資格外活動」(外国人のアルバイトなど)が最多。2番目が「技能実習」で、例外として就労が認められている在留資格で就労するケースが年々増加している。同商議所は「人手不足で外国人材へのニーズが増えているなら『就労が認められる在留資格』で就労する外国人材が増えるのが自然。しかし、実態は原則として就労が認められない在留資格で就労する者が増加しており、企業が求めるニーズと在留資格が乖離している」と指摘。出入国管理制度の発足時とは「全く異なる深刻な労働人口の減少やグローバル化の進展」に対応し、現行制度の抜本的な検証・見直しの必要性を訴えている。
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