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副業容認の影響は 「長時間労働に拍車」を危ぐ
2017年12月1日
厚生労働省は副業・兼業の推進に向けて、モデル就業規則を改定させる方向を示した。先月に開催された「柔軟な働き方に関する検討会」で出されたもので、「労働者の順守事項における副業・兼業に関する規定(許可なく他の会社等の業務に従事しないこと)」を削除して、「労働者は勤務時間外において他の会社等の業務に従事することができる」と改定する考えだ。モデル就業規則に法的拘束力はないが、多くの会社が利用しており、副業・兼業を認める会社が増加するとみられている。従業員の長時間労働にも影響すると考えられることから、反対する意見は少なくない。物流業界への影響について調べた。
まず、厚生労働省のスタンスは「就業規則のモデルは作るが、あくまでも就業規則を決めるのは企業」という立場だ。同省労働基準局労働関係法課によると、「労使団体から意見をいただいているところ。職種によって長時間労働が懸念されることも認識している。就業規則モデルは作るが、どのような就業規則にするかは各企業が決めること。法律で決めるものではない」と指摘。「検討会ではいろいろな意見を聞き、副業・兼業を認める方向でいく。そのことでは周知徹底を図っていくが、あくまで決断は各企業でしてもらうことになる」としている。国交省貨物課では「まだ、何とも言えない。(長時間労働についての)懸念はある。しかし、具体的には何とも言えないというのが現状。今後どうするかも確定していない」としている。副業・兼業について、全ト協の関係者は「全ト協としては、いまのところ何も動いていない。就業規則を変えるかどうかは各企業の考え方次第でしょう」としている。
日本労働組合総連合会では、「副業・兼業を行う労働者像を正確に把握すべき」として、「高所得かつ専門的スキルをもつ人材が想定されることが多いが、実態としては生活費補填のためにやむを得ず副業・兼業せざるを得ない労働者が少なくない。本来、本業の勤務時間外にどのように過ごすかなどは、労働者の自由だが、長時間労働が生じる問題や社会・労働保険の適用・給付などが法的に未整理であるなどの問題は解決すべき」としている。
また、「使用者による労働時間管理を徹底させるべき」と指摘。「過度な私生活介入とならないよう配慮しつつ、労働時間を適切に把握し、現行の労働時間ルールを順守すべき。労働者による自主的な労働時間管理に期待した制度設計は行うべきではなく、これをガイドラインに盛り込むべき」と提言している。
確かに、労働時間の管理を徹底しないと、企業側のリスクも高くなる。ドライバーが他社で副業をしているのを知らないまま働かせていた場合、通常は残業とならない時間でも、残業代を請求される可能性が出てくる。副業・兼業を認めた場合、ドライバーの収入の確保や人手不足への対応などメリットも多いが、デメリットも少なくないことを認識する必要がある。
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