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不記載や不一致で違反? 通行許可証にナンバープレート
2017年12月8日
特殊車両に関する通行許可を得て走行する大型トレーラが、道路構造に対して実質的にどの程度の影響を及ぼしているかといった検証のないまま、走行中の形式的な「違反」を問われている実態が、関係者の話で分かった。形式的な違反には、商慣習そのものに根差しているものや、重量測定の手法そのものに疑問の余地のあるものなど、「法令順守」を空で唱えるだけでは成立させることのできない不可抗力が内在している。叫べば叫ぶほど自己矛盾に陥っていく「法令順守」の在り方に、根本的な疑義すら生じていると指摘するトレーラ事業者もいる。
「ナンバープレートの不一致が、どのような実質的な影響があるのか」。神戸港を拠点に輸出入コンテナを陸上輸送するトラック事業者はそう話しながら、通行許可証を示した。コンテナは、けん引するトラクタとけん引されるシャシーが連結された状態で陸送を行う。事業者が示すのは、許可申請のあったトラクタがけん引することを許可されたシャシー(通行許可証では「トレーラ」と記載)を列記した通行許可証のページ。このトラクタの場合、列挙された9台のシャシーをけん引できることになる。9台はそれぞれ、ナンバープレート(車両番号)によって許可が出されている。事業者のトレーラは2年前、京都府内の一般国道での検問で、重量など超過はないにもかかわらず、ナンバープレートが通行許可証に記載がないことを指摘された。もっとも、許可証に記載されている「型式」と同じ型式のシャシーであった。事業者は、「当時は警告書を渡されただけだったが、今は高速道路、なかでも通行料金の割引制度に関係し、大きな経営問題にもなり得る」と指摘。また、「シャシーのナンバープレートこそ一致しなくても型式が合致していれば、全く同じ機能のシャシー。重量違反もないなか、ナンバープレートの不一致が実質的にどのような違反、影響を及ぼすというのか」とも話し、通行許可制度と取り締まり体制に疑問を呈する。
この事業者のもとには最近になって、高速道路での取り締まりを受け、ナンバープレートの不一致で違反とされたという情報が同業者から相次いで寄せられているという。事業者によると、こうした取り締まり制度が敷かれている以上、考えられる対策は、けん引するシャシーのナンバーをできるだけ列挙しておくことだという。「自社シャシーだけでも数十本、シャシーを借りる可能性のある同業者の分も含めると300本くらいは引っ張る可能性があるのがこの業界の商慣習。いつどこで検問・取り締まりがあるかわからないなかではそうしておく以外にない」と話す。
神戸港のトラクタ1台1台が数百本のシャシーを列挙するのが現実的なのか。それともせいぜい数十種類に限られる「型式」の列挙にとどめておくのが妥当なのか。こうした点について、特殊車両通行許可を所管する近畿地方整備局道路部交通対策課は本紙に対し、「取り締まりの基準を定めた内部規則では、申請車両か否かの判断を『型式』ではなくナンバープレートによってするとは書かれておらず、ナンバープレートで判断しているのは取り締まり側の判断」とコメント。さらに、「1台のトラクタに何百台のシャシーの申請は実際にあり、国交本省には問題を報告している」とも話し、許可事務が煩雑になりすぎる面からの改善が必要との立場を示す。
同課によると、2013年ころから許可申請件数は年率1・5倍程度ずつ伸びていっているといい、「ナンバープレートの申請がなければ法規制が実質上担保できないという事情はない」と話す。
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