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オリンピックが影響? 特車申請、許可まで長期化
2017年12月15日
申請から許可まで期間が長期化している「特車申請」。特殊車両を使用する運送事業者にとっては悩みのタネだが、オリンピック関連の工事の影響はあるのだろうか。「昨年に比べて今年は混雑している」という声が多い中、「オリンピックではなく、景気がよくなったのではないか」という意見もある。今回は関東圏の地方自治体を中心に「申請から許可までの期間」と「オリンピックの影響」について話を聞いた。
まず、オリンピックを開催する東京都(道路管理部路政課)では「いまは混んでいて、許可が出るまでに2、3か月はかかる。時期的なものかどうかはわからないが、やはり今年は混んでいる。オリンピック関連工事の影響についてはわからない」としている。埼玉県(県土整備部土木課)では「経路や車種にもよるが、最短で2週間。2、3か月かかるものもある。現在申請が増えており、オリンピックの影響もあるかもしれない」と説明。
千葉県(道路環境課)では「いろいろ条件の違いがあるので一概には言えないが、千葉と東京間だと3か月ぐらいかかる。いまは混雑しており、オリンピックの影響もあるかもしれないが、具体的なことはわからない」という。神奈川県(横須賀土木事務所許認可指導課)では、「県としての標準処理期間は30日。これは県の中だけを通行する場合で、他の管轄する道路を通行する場合はもっとかかるが、2、3か月になることはまずない。今年は多いが、オリンピックというより景気がよくなっているだけではないか」と指摘。茨城県(道路維持課)では「3か月ぐらいはいただいている。混雑して増えているが、原因までは把握していない」という。
千葉市(維持管理課)では、「2、3か月。混んでおり、少なからずオリンピックの影響もあるかもしれないが、明確にはわからない」と説明。さいたま市(南部建設事務所土木管理課)では、「大変混んでいるので1、2か月。オリンピックの影響についてはわからないが、昨年あたりから増えてきた。今後も続くのではないか」としている。横浜市(道路部管理課)では、「1か月半から2か月。横浜市だけではなく、全国的に混み合っている。オリンピックは少なからず影響があると考えている」と指摘。「オリンピックの影響もあるかもしれないが、東京がもともと遅いということはあった」というのは大阪市(管理部路政担当)。「東京までの経路だと2か月以上かかることもある。大阪市内だけなら4週間。協議が必要な場合はこちらに決定権がないので、場所によって異なる」としている。
関東圏に限らず、「特殊車両通行許可制度は機能していない」と指摘するのは、行政書士法人特車システムズの新冨和伸行政書士。「運搬が決まり、すぐに申請を行っても、運搬の日までに許可が下りないのであれば、最初から無許可で走るのと同じという声も聞かれる」という。新冨氏は「工事現場に大型重機、資材などを運搬する場合も特車通行許可が必要。しかし、運搬期日までには到底、許可は下りない。運搬事業者は許可なしで走行するリスクを負うか、運搬を断念し、経済的な損失を負うことになる。国交省発注の工事にもかかわらず、資材などを搬入するための許可を下ろしてもらえないという事態も多々発生している。結果、そもそも許可を取得する気のない悪質な事業者が無許可で運搬する状況」で、「新車導入時にも申請要件が整い次第、すぐに申請を行っても、許可までに時間がかかりすぎるため、新車が車庫から2、3か月は動かせない」とも説明する。同氏は「審査体制の拡充と人員教育、全国共通のマニュアル、さらに、各道路管理者の協議回答のルール化が必要」と訴える。
また、「道路便覧に収録されている道路が少なすぎる」と言うのは、佐久間行政書士事務所の佐久間翔一行政書士。「道路便覧に収録されている道路は、向こうにもデータがあるので早い。未収録の場合、見るまでに2、3週間かかると言われたこともある。未収録道路を通過する場合、各行政と協議が長くなる」と指摘。「車両の諸元データを入れて申請するのであれば、収録道路の場合はあらかじめ許可していれば協議が少なくて済むが、あまりにも未収録の道路が多すぎる。未収録の道路を減らさなくてはどうにもならない。同じルートを走行しているのに、ナンバーが変わっただけで、許可までに時間がかかるというのはいただけない。全体的に協議を少なくする方向に動き出さなくてはいけないだろう」と話している。
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