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ブログ・経営承継支援
第5回「オーナーにとってのM&A」
2020年6月20日
皆様、こんにちは。
経営承継支援M&Aコンサルタントの村橋秀一です。
中小企業でのM&Aは、オーナーにとっても、従業員にとっても人生に一度経験するか否かの大きな出来事です。
今回は「オーナーにとってM&Aをすること、されること」の意義を解説します。
そもそもM&Aとは、ある企業が他の企業や事業を買収することを言います。
買収というと一言ですが、その裏には、買い手・売り手それぞれの様々な決断が隠れています。
まず、M&Aの売り手になるということは、その企業・事業からの引退を意味します。
従業員であれば転職・退職を行うことで仕事を変えることが可能ですが、オーナーは雇用している従業員や取引に対する責任等があり、簡単に転職・退職を行うことはできません。
従来は、健康の都合、家庭の都合、その他様々な事情で会社経営を行うことが困難になった場合、廃業か後継者への相続のどちらかの選択肢しか取ることができませんでした。
廃業は従業員の解雇を伴う等の影響も大きいため、後継者のいないオーナーは無理をおしてでも事業を続けてきたのが実情です。
このため、近年の後継者不足も手伝って、従業員の雇用や取引先との関係を守る手法として注目されてきた第三の手法がM&Aになります。
次に、M&Aの買い手になるということは、売り手が手放したものを背負うことを意味します。
その買収によって、新規事業への参入、既存事業の強化等のメリットもありますが、その会社の従業員の将来・取引先の将来・金融機関借入への連帯保証を背負うことになりますし、高額な買収対価も支払いますので、相当な覚悟が必要になります。
このようにオーナーにとってのM&Aは、売り手買い手の両者にとって、様々なことを考えぬいた上での決断であることがお分かりいただけたかと思います。
日本の中小企業経営者の平均年齢は、既に65歳を超えています。
今後、M&Aがより身近なものとなりますので、オーナーがどのような思いで決断に至ったかを想像してみて頂いても良いかもしれません。
◎関連リンク→ 株式会社経営承継支援
村橋 秀一
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筆者紹介
経営承継支援
価値をつなぐ、想いをつなげるM&A
中堅・中小企業の円滑な事業承継のためのコンサルティング業務と中堅・中小企業の継続・発展に資するM&A仲介・助言業務が得意。
https://jms-support.jp/村橋 秀一 (会計士)
2006年、立命館大学経済学部在学中に公認会計士試験に合格し、監査法人入社。上場企業・外資系企業を中心とした法定監査に数多く携わる。2011年、東京大学大学院を修了後、監査法人を退職し、大手コンサルティングファームに入社。M&Aアドバイザリー部門にて、上場企業から中堅・中小企業に至る様々なタイプのM&A案件、バリュエーション案件、財務デューディリジェンス案件40件以上に関与。2014年、大手証券会社に入社、課長に就任。日本国外を対象としたM&A案件をはじめ、国内大手インフラ関連企業の再編案件等、多数の大型M&A案件に関与。2017年、当社にパートナーとして参画。 -
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