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ブログ・経営承継支援
第13回:「M&A前に確認すべき3事項」
2021年2月16日
皆様、こんにちは。経営承継支援の柿原悠佑です。今月は前回の続きで、M&A前に確認すべき事項について説明します。以下の3点は最低でも確認して頂きたい事項です。
1つ目は会社の中長期的な目標です。M&Aではトップ面談がありますが、この面談で売手から譲渡後の会社の将来について聞かれることが多くあります。
お相手を選ぶための質問です。もちろん価格評価も大事ですが、売手にとって、自身が心血注いだ会社を「今後どう成長させてくれるのか」という点は相手選びの判断材料として非常に大きいと感じます。
良い会社ほどそれを重要視する傾向にあり、トップ面談の際に事業シナジーや譲渡後の成長性について具体的なイメージが湧かないと断られることもあります。
また、評価金額が低い場合であっても、「この会社に引き継いでほしい」という1点で選ばれるケースも少なくありません。
2つ目は役員候補です。事業承継型のM&Aが昨今増えていますが、この場合、経営者は譲渡後の引退を希望することが多いです。引き継ぎのために顧問として1年程度ご協力頂くことが一般的ですが、M&A後にどんな人を買手企業から役員として派遣してくれるのかは大きな関心事です。派遣できる役員候補がいるかどうかは事前に確認しておくべき事項です。
3つ目はメインバンクのM&A評価手法です。まずは簡易的でも構いませんので、現在取引されている金融機関と、M&A融資の際の評価手法について最低限確認をしましょう。
過去の事例ですが、「どうしても買収したい」と買手社長の判断だけで価格を吊り上げてしまい、4億円で意向書を提出されましたが、買収資金の一部を融資前提で進めざるを得なくなってしまいました。監査後に金融機関に融資相談をしたところ、融資基準に合わず資金調達ができなくなり、結果として「金融機関に反対された」との理由で減額し再提示をされたのですが、売主としても納得ができず、破談になった案件がありました。
メインバンクに、マルチプル法でEBITDA(税引前利益に支払利息、有形・無形固定資産の減価償却費を加えて算出される利益)の何倍程度なら妥当か、修正純資産+営業権での評価なのかなどを確認してみましょう。
また、返済期間も重要です。肌感覚としては10年~15年程度を基準にしている金融機関が多いと感じます。因みに公的金融機関等では事業承継用の制度融資もあり、最大7.2億円、20年の返済期間且つ無担保で融資を受けたケースも存在します。
柿原 悠佑
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筆者紹介
経営承継支援
価値をつなぐ、想いをつなげるM&A
中堅・中小企業の円滑な事業承継のためのコンサルティング業務と中堅・中小企業の継続・発展に資するM&A仲介・助言業務が得意。
https://jms-support.jp/柿原 悠佑 (コンサルティング部 マネージャー)
早稲田大学卒業後、専門商社にて海外拠点の立ち上げを行ない、3年半支社長として活動。 その後、大手広告代理店に転職し、建設業向けコンサルティングを行ないつつ、新規契約額、件数にてトップ成績を残す。 2016年からは大手M&A仲介会社に移り、多数のM&Aを成立させ、2017年株式会社経営承継支援(現、株式会社経営承継支援)に入社。運送業やクロスボーダー案件等を中心にM&Aアドバイザー業務に従事。 -
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