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ブログ・経営承継支援
第12回:「買手企業にとってのM&A戦略立案」
2021年1月15日
皆様こんにちは。経営承継支援の柿原悠佑です。今月と来月は、「買手企業にとってのM&A戦略立案」として、ターゲット選定と確認すべき事項などをご説明します。
今回はターゲット選定についてです。結論から申し上げますと、業界や取引先の状況が最も重要になります。
例えば、貴社が運送業だけを行っており、「既存顧客や業界に将来性を感じており、まだまだ運送の仕事があると見込む」のであれば、ドライバーの確保が必要かと思います。M&Aのターゲットは、同じ車種を持ち、且つ、近隣にある同業が買収のターゲットになってきます。
もし、「既存顧客からの仕事はあまりないが、業界に将来性を感じている」のであれば、バリューチェーンの中で運送と隣り合う機能(業種)がターゲットです。
製造業なら、バリューチェーンは、①製造②検品③ピッキング④梱包⑤運送になります。貴社は⑤の運送を行っておりますので、この場合、ひとつ前の④梱包作業を行っている人材派遣や請負業がターゲットになります。M&Aすることで、梱包から配送までを一気通貫で対応できるようになるため、より多くの仕事を得ることができます。
他の業界で例を挙げますと、集配なら倉庫保管、機械設備の配送なら設置工事、冷凍物流であれば包装作業や冷蔵倉庫業を買収するイメージです。
バリューチェーンの中で対応できる機能の幅を広げていくと、コスト競争力を得ることができます。一つの依頼から獲得できる仕事量が多くなることで、管理コストを抑えつつ、粗利が増え、利益率も上がるのです。
もし、「既存顧客も業界の先行きも不安」と思われているのであれば、同じ業種の別の業界への参入です。建材運送を行っていた企業が食品運送に参入するようなケースです。同じ運送業ではありますが、業界が異なればリスク分散ができます。
建設業界はコロナで、比較的、影響を受けた業界かと思います。かたや食品物流、例えばスーパー向けにセンターからの配送を行っている企業は大きな影響を受けなかったかと感じております。
我々は「コングロマリット型企業」というような呼び方をしますが、こうした企業は総じて不況に強い企業になります。
次回はM&A前の確認すべき事項について説明します。
柿原 悠佑
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筆者紹介
経営承継支援
価値をつなぐ、想いをつなげるM&A
中堅・中小企業の円滑な事業承継のためのコンサルティング業務と中堅・中小企業の継続・発展に資するM&A仲介・助言業務が得意。
https://jms-support.jp/柿原 悠佑 (コンサルティング部 マネージャー)
早稲田大学卒業後、専門商社にて海外拠点の立ち上げを行ない、3年半支社長として活動。 その後、大手広告代理店に転職し、建設業向けコンサルティングを行ないつつ、新規契約額、件数にてトップ成績を残す。 2016年からは大手M&A仲介会社に移り、多数のM&Aを成立させ、2017年株式会社経営承継支援(現、株式会社経営承継支援)に入社。運送業やクロスボーダー案件等を中心にM&Aアドバイザー業務に従事。 -
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