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物流ニュース
配送時のセキュリティ基準「TSR」の策定進める
2010年4月23日
物流セキュリティの国際規格「TAPA」の普及活動を展開するTAPAアジア日本支部では、配送時のセキュリティ基準を規格化した「TSR(トラック輸送セキュリティ要求事項)」の策定を進めている。
実入りコンテナの盗難や配送中の商品事故が多発する運送業界で、業界初の同認証の取得は荷主に対する強力なPRとなり同業他社との差別化にもつながる。同支部代表の浅生成彦氏に話を聞いた。
規格開発の経緯は
「世界的サプライチェーンで起こる盗難事故に苦慮した欧米のメーカー数十社が合同で規格・認証組織を設立した。当初は『FSR』と呼ばれる倉庫のセキュリティ規格に一部含む程度のものだったが、トラブルが多発するため、トラック輸送に特化した『TSR』が追加された」
日本だけの取り組みか
「規格は世界共通で、サプライチェーンを同一基準でカバーするもの。欧州では、走行車線も事前に指定し、車線逸脱をGPSがキャッチすると運転者に警告を出す企業もある」
会社単位の認証か
「FSRと同じく施設単位で、クラスは3段階に分かれている。輸送ルートも対象で、ルートを変更する場合、荷主との間でその都度『認証』の確認・許可が必要」
規格の特徴は
「ISOと異なり、現場での物理的なセキュリティレベルをチェックする。機器・システムの項目が多く含まれており、基準を達成しているかどうかが判断基準で客観性が高い」
なぜ、いま必要か
「日本国内での常識を基準としていては世界では通用しないという考えが規格制定の原動力となっている。物流ハブとしての機能は東南アジア各国に奪われつつある。安全神話にすがって無対策を続け、実際に被害が出ていないとしても、海外の荷主は(日本を)そこまで安全であると信用していない」
取得のメリットは
「世界的なセキュリティ水準を獲得でき、国際的な荷主との取引要件を手に入れることになる。競合企業と差異化できる」
荷主ニーズは
「冷凍ギョーザ事件が露呈したように、身の回りのあらゆるものが海外からもたらされている現状で、調達ルートにもセキュリティを求める傾向が強まっている」
荷主側のメリットは
「盗難による損害の抑制だけでなく、盗難商品が市場に出回ることでの信用失墜やマーケット喪失を防げる。現在、食品や医薬品メーカーがTAPAに関心を持っているのは、盗難よりも異物混入や不正な市場流出を警戒しているため」
審査は
「現状では、LRQA、SGS、BVQIの3社が担当する。費用は2.5日間の審査で50万円程度。設備対策での費用は別途必要」
物流事業者は何をすべきか
「セキュリティという概念を再認識し、TAPA規格が求める内容を理解することで、するべきことが見えてくるはず。荷主と何をどう守るかを協議した上で、それに必要な対策をとれば良い。社内マニュアルや傭車先との契約基準としても利用できる」この記事へのコメント
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