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    陸災防支部に異変 講習会収入激減、赤字決算相次ぐ

    2011年6月14日

     
     
     

     陸上貨物運送事業労働災害防止協会(陸災防)の各都道府県支部の決算に異変が生じている。収入の大半を占めるフォークリフトなど登録技能講習の講習会収入が激減し、赤字決算を余儀なくされるケースが相次いでいるのだ。長引く不況とそれによる雇用情勢の悪化、さらに規制緩和で講習事業に新規参入した事業者の猛攻勢などが原因と見られるが、各支部とも今後の運営のあり方について見直しを迫られている。


     陸災防埼玉県支部は、10年度決算の事業活動収支で151万円の赤字を計上。千葉県支部も337万5000円の赤字となった。いずれも講習会収入が大きく落ち込んだためで、埼玉では予算段階で講習会収入7170万円を見込んでいたが、決算は5532万円と1600万円以上下回った。千葉も予算段階で講習会収入6090万円を見込んだものの、決算では5388万5000円と701万円も少なかった。
     両支部とも、登録技能講習ではフォークリフト運転技能講習が、収入全体の8割を占めるだけに受講者減による影響は甚大だ。フォークリフト講習受講者は近年、減少傾向にあった。景気低迷で各企業の雇用環境が厳しくなってきたことが影響しているという。
     埼玉の場合、フォーク講習受講者を増やすため、工業団地や各分会、各協議会などで開催に努めながら、新たな試みとして県内のホームセンターへDMを送付するなど積極的に営業を展開したが、減少傾向に歯止めは掛かっていない。千葉も08年度を境に毎年減少し続けている。
     技能講習では毎年平均1500人以上が受講する東京都支部会の11年度のフォーク講習会は68回(10年度は61回)開かれ、1230人(同1604人)が受講した。講習会が増えた半面、受講者は2割以上減少している。講習会収入は674万円減少し、全体では800万円以上の経常損失となった。
     ただ、「東京の場合は不況が原因ではない。規制緩和による新規参入の影響が大きい」と川合孝二事務局長は指摘。東京では受講者数は増え続けていたが、昨年11月頃から「民間企業の攻勢が激しくなり、陸災防の受講者がそれらの企業に奪われる形で減少した」という。
     登録技能講習制度は04年4月に規制緩和された。それまでは「労働局長が指定する公的機関」だけが講習会開催を許され、修了証を付与することができた。法律が変わり、一定の要件さえ満たせば労働局への「登録」だけで、企業でも個人でも講習会が開けるようになったことで、07年頃から自動車教習所などを皮切りに、大手運送会社やメーカー系子会社など続々と参入してきた。
     川合氏は「某企業の営業マンは『お安くしときます』と受講者を勧誘していると聞く。受講料は届け出料金。講習ごとに固定した金額でゾーン制ではなく、変更する場合は2週間前までに届け出る必要があり、勝手に安くするなどできない。明らかに違法行為。陸運業界は『儲かる市場』と認識され始めた感がある」と話す。
     フォークだけでなく玉掛け、小型移動式クレーンなども受講者数は激減しており、「座して待つ時代は終わった。事業収支を考えると、これからはもっと積極的な営業が必要になる。対象も東ト協会員を中心とした既成概念を捨て、営業体制を拡充し、広く市場に『打って出る』ことが必要では」との議論も起こっているという。

     
     
     
     

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