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    「不正軽油の温床」取引課税を問う 「蔵出し課税」なら公平

    2011年7月21日

     
     
     

     「不正軽油の温床となっている取引課税を止めるべきだ」。
     燃料価格の高止まりに直面する運送現場から、こんな声が聞こえてくる。トラックの運行上、大きな経費となっている軽油が、軽油引取税の課税有無によって経営の土台が大きく違ってくる「イコールフッティング」が保てない状況に、拍車がかかっているためだ。そこで持ち出されるのが、製油所から出荷されるときに軽油に課税してしまおうという蔵出し課税化だ。ただ、法的には蔵出し課税は世情に逆行するとの立場もある。


     実は、蔵出し課税化に関する期待は、いまに始まったものではない。競争の土台を共通のものにするための蔵出し課税化は、運送事業者のなかでは以前からあった。
     それがここにきてなぜ、あらためて注目されているのか。それは、軽油引取税の免税措置が来年3月いっぱいで廃止されるという事情による。
     船舶の使用者や農業、林業など5つの典型例を上げて、同じ軽油でも32.1円の軽油引取税がかからない免税措置が敷かれている。だが、09年の税制改定により軽油引取税は、道路を作る目的として課税される目的税から変更され、都道府県の普通税(一般財源)とされた。来年3月までは船舶などは軽油引取税がかからないが、4月以降は32.1円が上乗せされることになっている。
     では、船舶などの免税措置がなくなれば、どうして蔵出し課税化が注目されるのか。
     軽油のように、元売り業者や特約業者から仕入れた石油販売業者が納税義務者となっている制度は、「特別徴収制度」と呼ばれ、蔵出し課税と対極にある。特別徴収制度では納税義務者の数が膨大になり、いわゆる「不正軽油」の温床とされる。蔵出し課税化すれば不正軽油が目に見えて減ることは確実と、燃料販売業者は口をそろえる。
     つまり、軽油の特別徴収制度は、蔵出し課税にしてしまえば免税分の軽油の還付申告などが煩雑になりすぎることを懸念した制度だ。
     軽油引取税の申告は、その裏返しの制度。免税軽油の煩雑な還付申告を防ぐ役割を果たしてきたといわれる。そして、その一方の代償として生まれたのが、運送業界が苦しむことになる「不正軽油」なのだ。
     こうした事情について、ある燃料業者は「蔵出し課税化すれば、確かに不正軽油はなくなる。しかし、『既得権化』している特別徴収制度を石油業界が手放すとは思えない」と話す。
     税法の専門家からは、「軽油引取税の徴収手続きを変更するということではなく、『軽油引取税』そのものを廃止し、『揮発油(ガソリン)税及び地方揮発油税』に衣替えするほうが現実的」と指摘する声もある。現状も蔵出し課税の揮発油税と同じ扱いにするというものだ。
     ある関係者は、「単に特定業種の問題に過ぎないのであれば、国民の関心をえることはできない。不正軽油が地方財政に与える影響を業界から国民に発信していければ」と話している。

     
     
     
     

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