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物流ニュース
パジャンカ 役職取り払い再スタート、若返り進み活気戻る
2012年5月31日
埼玉県の事業者は経営幹部以下、社内の組織を一新するという大改革に着手した。その結果、若返りが図られて、会社に活気が戻ってきたという。「頑張っている者が社長になれる、そんな会社にしたい」と、同社社長は話している。
春日部市のパジャンカ(清水良順社長)は、3年前に社内改革を断行した。部長や課長といった役職をすべて取り払い、全員が1ドライバーとして同じ土俵で再スタートを切らせたのだ。
同社は、平成7年に設立。もともと不動産の営業をしていたという清水社長が、営業先の顧客の引っ越しの受注を手掛けたことから、自身で引っ越し業務をスタートさせた。同9年に緑ナンバーを取得し、運送業として本格的に営業を開始。
他業界で営業畑を歩んできた同社長の考えには、「運送業はサービス業」という概念があった。そのため、頭には顧客が何を求めているか、また、何をすれば喜ぶかということがあったという。
当然、仕事は断らない。さらに、「自社の車両を減らしたほうが荷主のためにいいとなれば、自社にとって不利になるが迷わず提案した」。そんな取り組みが荷主との信頼関係を強固にしていったと自負する。
トラックは40台を超え、部長や課長など経営幹部もそろい、会社は組織として体を成してきた。「順風満帆に進んでいる」。同社長もそんな意識を持っていたが、荷主からの信じられない一言が同社長の意識に穴を開けた。「お宅は仕事を選ぶからな」。それが荷主の言葉だった。
確認すると、荷主の言葉は嘘ではなかった。経営幹部が自分の判断で、面倒な仕事を断っていたのだ。そのため、社長の耳にも入ってこなかったのだという。
「経営幹部が楽をしようとする姿勢と、それが当たり前になってしまう会社の体質に大きな危機感を抱いた」という同社長は、一大決心をする。経営幹部の役職を解き、末端ドライバーには、頑張れば出世できるチャンスがあると説明した。全従業員が同じ土俵に立つという大改革がスタートしたのだ。
大きな決断だっただけに、社内だけでなく、周囲からも反対や心配する声も届いた。しかし、「このままでは優秀な若者が入ってこないし、去っていくと考えた」と、改革の手を緩めなかった。それまで経営幹部だった数人は会社を去り、その一方で若者が台頭してきたという。もっとも頑張った30歳のドライバーに常務という役職を与えた。また、「派閥に近い問題も起きていた」というが、この改革で派閥は解消され、組織が一本化されてきたという。
さらに、その常務を5年後に社長にすると公言。これにより、組織は新体制のもとに動き出しており、実務面では徐々に社長の手を離れてきたという。
若返りによって、会社は活性化しているという。また、新たに若いドライバーが集まり、平均年齢も下がっている。車両は4トンを中心に45台まで増えた。
◎関連リンク→ 株式会社パジャンカこの記事へのコメント
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