皆さんこんにちは、日本事故防止推進機構（ＪＡＰＰＡ）理事長の上西一美です。５月１３日にジャパントラックショーで講演させて頂きました。テーマは「２０２４年問題における交通事故防止のあり方とＳＤＧｓの取り組み」です。

２０２４年問題は非常に深刻なテーマですが、ただ残業時間を削減すればいいのか、私はそうは思えません。なぜなら、単純な残業時間のカットは、従業員の給与削減となり、本来、「長時間の残業が労働者にとって悪影響」という話のはずが、賃金が下がることでまた別の問題を生んでしまうからです。

とは言え、労働時間が多くなることは、労働者によっては、デメリットも多いのも事実です。２０２４年問題の本質は、労働時間の単純な削減ではなく、仕事の効率化です。

「いかに短い時間で生産性を上げていき、給与水準を保つか」、これに尽きると思いますが、運送業では運賃を上げることができない場合、なかなか困難であるのも事実です。そこで、今回の講演では私の専門分野の「交通事故防止をどのように効率化していくのか」という話をしました。事故防止は時間をかければ効果が出るとは限りません。逆に、長い研修は効果が出ないことも多く、非常に悩むケースだと思います。

また、タクシー会社時代ですが、交通事故での示談などにかかる見えない人件費は、その被害額の８倍になることもありました。だから、「事故を未然に防止することを考えなさい」と当時の上司に教えられました。交通事故防止は起こってから実施するのではなく、未然に防ぐもの、そして、事故での無駄な労働時間も削減すべきです。