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物流ニュース
「トラック野郎」から「佐川男子」へ
2012年10月1日
ドライバーの魅力は何か。昔は、稼げるということが大きな魅力の一つであった。また、自分専用の空間で自分のペースで仕事ができることも魅力だといえた。しかし、価格競争に加え、労働時間管理の徹底が進むトラック業界にあって、いまや稼げるという魅力は完全に失われた。
さらに、デジタコやドライブレコーダーの普及が進み、自分のペースで仕事をすることにも制約が掛かった。こうした魅力がことごとくかき消されていく中で、果たしていま、ドライバーの魅力は何なのかと問われると、答えに窮してしまうのが現状だ。トラック業界には、自らドライバーとして働き、会社を興してきた事業者が多いが、そうした事業者からも、ドライバーの魅力については否定的な言葉が並ぶ。
こうした中、ドライバーを題材にした写真集が発刊された。「佐川男子」で、その名の通り佐川急便のドライバーの写真集である。全国約3万人の中から社内公募で51人が選ばれ、彼らの写真や記事が掲載されているのだ。情報テレビ番組などでも紹介され、重版もかかり、すでに約2万部が発行されているという。
トラック業界ではかつて、「トラック野郎」という映画が脚光を浴びたことがあり、この映画によってトラックドライバーに憧れ、その道に進んだという人が相次いだ。映画が当時のトラックの魅力を存分に描き出していた。しかし、時代は移り、当時の魅力がすでに時代遅れとなってしまった。そこに登場したのが今回の写真集である。
ドライバーを題材にした写真集を、それも一般向けに発行するということは前代未聞だ。写真集には、筋肉質でスタイルのいいイケメンが並ぶ。清潔感と爽やかさを描き出しており、そこには、ドライバーに抱く、仕事がきついという負のイメージは一切ない。清潔感とともに汗をかきながら懸命に荷物を運ぶその雄姿は、異性の憧れの存在になりうるのかもしれない。
ドライバーの魅力が問われる中で、今回の写真集の発行にヒントが隠されているように感じる。この記事へのコメント
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