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    全従業員が健康診断未受診 交通事故で事業存続の危機

    2013年2月15日

     
     
     

     神奈川県のある運送事業者は、従業員全員に健康診断を受けさせていなかった。何年間も会社としての体制を何も整えることなく仕事をしてきたが、ある日起こった交通事故がきっかけで、同社は事業存続の危機を迎えることになる。


     この事業者のトラックがある日、自損事故を起こした。走行中のトラックの左側面がガードレールにぶつかった後、反対側に跳ね返る形で右側に進み、道路右の木にぶつかって停止した。被害者はなく、トラックが単独でぶつかった事故だった。
     運転中にドライバーは意識を失っていたようで、気がついた後に自分で携帯から会社に事故を起こしたことを報告。その後、救急車を呼んで病院に運ばれたが意識不明だという。後でわかったのは、ドライバーが脳梗塞で、事故発生の際には意識を失っていたということだった。そしてドライバーの家族は、脳梗塞と事故によるケガを労災として訴えてきたのだという。
     同事業者は運送業を専門とする行政書士に対策を依頼するが、この行政書士が対策のために社内体制を調べてみると、大変な欠陥が見えてきたという。ドライバー全員に健康診断を受けさせていなかったのだ。過重労働の上に、健康診断など会社側で何の対策もしていなかったことが明白になってしまった。
     同社は軽貨物業者として始めた事業が拡大し、水揚げから何割かを売り上げとして渡すという労務管理で過ごしてきた。事業主は会社経営など考えることもなく、何事も適当な事業形態でやってきたようだった。
     事故を起こしたドライバーの親族が労災で訴えたことで、労基署が調査に乗り出すことになった。そして労基署が動けば通報制度によって運輸局の監査も受けることになる。法令順守などはあってないような状態で、運輸局が来れば数日間の事業停止は免れないという状況だ。
     同事業者から相談を受けた行政書士は「健康診断をしてなかったという一つの出来事が、回りまわって運輸局の監査につながった。小さい事業者が3日間の事業停止でもなれば存続の危機だ」と話す。

     
     
     
     

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