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    悪循環が生む速度超過 渋滞、荷待ち・・・時間ロスで焦る事業者

    2014年8月20日

     
     
     

     運送事業者にとって安全運転は第一に挙げられる重要な使命でもある。しかし、昨今は「時間指定」が厳しくなり、速度超過するドライバーも少なくない。また、時間指定を厳守しても「荷待ち」で次の仕事に間に合わないケースも多く報告されている。今回は「速度超過」と「荷待ち時間」について関係者の声を集めた。
     愛ト協では今年も7月1日から12月末までの半年間「トラック・セーフティ・ラリー」が実施される。会員事業所の交通安全意識の高揚と「事業用自動車総合安全プラン2009」の目標達成のためである。ドライバーはもちろん、経営者や管理者も参加し、5人1チームで編成される。


     会員数1009社、チーム数9038、4万5190人が参加した昨年のラリー期間中の交通違反を見ると、とりわけ多いのがシートベルト(716件)、携帯電話(627件)、信号無視(539件)となっている。そして、4番目にランクされたのが、今回注目する「速度超過」である。違反件数30キロ以上(66件)、30キロ未満(429件)という結果となった。
     シートベルト以下の上位三つの違反に関しては、ドライバーのモラルや良識が問われる部分で弁解の余地はないが、速度超過については取り締まられた側として、必ずしも全員が納得しているとは考えにくい。決して速度アップを助長しているわけではない。現在の道路構造、制限速度、警察の取り締まり方法についてドライバーの理解を得られているかということである。
     そんな中、昨年の6月、古屋圭司国家公安委員長が、このような発言をしている。「ややもすると取り締まりのための取り締まりになっている傾向があり、問題だと思っている。警察の信頼という視点からも疑問符がつく。重要なのは本当に交通事故が多い場所で取り締まることが事故の抑止につながる。取り締まられた側も納得できる取り締まりをしなければならない」。一部に批判があったが、ドライバーの気持ちを代弁しているとして支持する声は大きいものであった。愛知県内の現場の警察官に、古屋氏の発言について感想を聞いてみたが、「何も答えられない」と渋い表情を見せた。
     トラック関連で言えば、90キロ規制が渋滞の要因となっている点があるので、通行区分の問題についても早急に取り組む必要がありそうだ。渋滞と速度違反は関連性が極めて強い。渋滞による時間ロスを取り戻そうと、スピード違反を起こす場合が多いからである。
     愛知県内の運輸関連労働組合には「速度超過」についてさまざまな相談が寄せられているという。持ち込まれた相談では、「少しでも寝る時間を確保するためにはスピードを出さざるを得ない」「ジャスト・イン・タイム生産システムを採用している場合、指示通りに製品を納入しなければ工場を止めるようなことにもなりかねない。そういったプレッシャーを感じながら運転していると、スピードも自然に上がってしまう」といった声が出ているという。
     時間厳守を徹底するためには走行距離や休憩時間だけでなく、荷積みの時間も考慮しなければならない。愛知県の運送事業者に話を聞くと、「長距離輸送で翌朝一番必着であるにもかかわらず、前日午後には積み込みが完了していなければならなかったが、梱包の時間が遅れてしまった。ドライバーの出発時間も予定より遅れたが、指定時間は変えられない。
     そうなると、休憩時間や仮眠時間、食事の時間を削り、速度超過も仕方なく…ということになる。ドライバーを責めることはできない」と語った。さらに、「傾向として、下請け会社の多くに違反をしなければならないようなグレーな案件が降りてくるので、こういった厳しい条件のドライバーは中小・零細企業に多い」と同社長。「事故を起こして行政処分にあっても、大企業は知らん顔をするだけ」と語る。
     「時間厳守が第一。時間を守れないドライバーには、辞めてもらうしかない」(愛知県弥富市の運送事業者)と、厳しい態度で臨んでいる運送事業者は多い。しかし、ドライバー不足が叫ばれている現在、「時間通りに届けても、長時間待たされることが多い。次のお客に届けられず大目玉を食らったこともある」(前出の運送事業者)という問題も出てきている。
     名古屋港管理組合では「時間によって多少は渋滞することもあるが、以前のような慢性的な渋滞は解消された。新しく道路を造り、改良を行った結果」としている。また、三河港・豊橋コンテナターミナルを管理する愛知県建設部港湾課(経営グループ)でも、「豊橋コンテナターミナルでは以前から渋滞は発生していないため特に対策などは講じていない」と説明している。
     しかし、東京湾周辺では「放置トレーラ」の問題が大きくなっており、新しい渋滞の原因となっているとも言われている。愛知県内のコンテナ関係者は放置トレーラの問題についてノーコメントだ。平成24年に出された全ト協の「トラック産業における取引実態調査」によると、回答したドライバー全体の79.4%が「待機することがある」と回答している。その原因としては、「指定時間にトラックが集中する」「準備ができていない」「ほかのトラックの積み込み・積み下ろしの時間超過」などが挙げられている。
     指定時間を厳守したにもかかわらず、長時間の荷待ちを受ける。ドライバーとしては次の仕事のために「速度超過」を犯したくなるという状況だろう。

     
     
     
     

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