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物流ニュース
企業単位の規制改革 新規事業への挑戦を後押し
2017年4月3日
企業の提案に基づき「規制改革」を実行することができる制度の利用が、平成26年1月にスタートしてから昨年末までに100件を超えた。その中には、「現行基準よりもアシスト力の大きいリヤカー付き電動アシスト自転車を、宅配などの物流事業で使うことが可能になった事例」といった、物流業界に関係する案件もある。様々な法規制に対応しなければいけない運送業界だが、同制度を活用して「企業単位の規制改革」を実行し、新規事業に挑戦してみてはいかがだろうか。
同制度には「グレーゾーン解消制度」と「企業実証特例制度」があり、企業の個々の事業内容に即して規制改革を進めていくことを狙いとして創設された制度で、いずれも経済産業省が窓口となる。
「グレーゾーン解消制度」は、事業者が新事業活動を行うに先立ち、あらかじめ規制の適用の有無について政府に照会し、事業所管大臣から規制所管大臣への確認を経て、規制の適用の有無について回答を得ることができる制度。これまで97事業者から92件の申請があり、そのうち中小企業は60件という。
活用実績として、ある事業者は、電動アシスト機能を付加した台車が歩道で活用できるかどうか、道路交通法及び道路運送車両法上の取り扱いについて確認を求める照会をした。関係省庁が検討を行った結果、「照会のあった電動アシスト付き台車は、道交法施行令第1条の『ショッピング・カート』に該当し、これを通行させている者は歩行者とされる」「照会のあった電動アシスト付き台車は、道路運送車両法第2条第1項の『道路運送車両』に該当せず、同法の規制を受けない」との回答を得た。これにより、電動アシスト付き台車を歩道で使用できることが確認され、物流業界の効率化、力の弱い高齢者・女性の雇用創出に寄与することが期待されることとなった。
一方、「企業実証特例制度」は、企業自らが、規制が求める安全性などを確保する措置を講じることを前提に、企業単位で規制の特例措置が適用される。これまで16事業者から11件の申請があり、そのうち中小企業は4件という。
こちらの活用実績では、ヤマト運輸及びヤマハ発動機から共同で申請された新事業活動計画があり、同計画は、新たな物流手法としてアシスト力の大きいリヤカー付き電動アシスト自転車を配送事業に活用するというもの。電動アシスト自転車は、道路交通法施行規則でアシスト力(人がペダルを踏む力に対して駆動補助機が補助する力の比率)の上限が2倍と定められていたが、この規制について、両社が特例措置の整備に関する求めを行った。
この求めについて、事業所管の経産省・国交省と規制所管の国家公安委員会で検討・協議を行った結果、現行法令による上限の2倍よりも大きい3倍のアシスト力を有するリヤカー付き電動アシスト自転車について、物流用途に限定して活用できる特例措置が整備された。この新事業活動により今後、配送事業に携わる女性や高齢者の負担軽減による雇用機会の拡大や物流業におけるCO2排出量の削減などが期待される。
経済産業政策局の新事業開拓制度推進室によると、「新規事業を始めたいが、『規制に抵触するかも』などグレーだからという理由で開始を控える会社が少なくない。制度を活用することで白か黒かが明らかになり、白と分かれば安心して事業開始できる。また、黒だとしても企業実証特例制度で特例措置の適用が認められるという道があるかも知れない」と説明。「申請は経産省のホームページに様式があるが、まずはどういう事業内容か相談していただければ、しっかりサポートさせていただく」と、制度の活用を促している。
◎関連リンク→ 経済産業省この記事へのコメント
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