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    各社の情報漏洩対策 今後の企業価値決める

    2017年7月31日

     
     
     

     インターネットやスマホなどの普及により通信環境が整備されたことによって、大量の情報やデータを集めて発信することが容易になった。一方で、個人や企業の権利と利益が侵害される危険性も高まっている。企業にとって、利用者の個人情報は大きな財産であり、重要機密でもある。個人情報の取り扱いには細心の注意を払わなくてはならない。企業情報もそうだが、特に個人情報の漏えいや流出は、発生すれば企業にとって計り知れないダメージとなってしまう。個人への賠償はももちろん、企業としての信用が一気になくなってしまうからだ。しかし、企業による個人情報の漏えいや紛失事故は相次いで発生、その規模も大きくなっている。個人情報の取り扱いが今後も、拡大していくことが予想されるため、情報漏えい対策が、これまで以上に重要となる。
     企業の情報漏えい問題は、なぜ起こるのか。日本ネットワークセキュリティ協会の2016年の調査によると、管理ミス、誤操作、紛失・置き忘れなどが情報漏えいの原因となっており、8割の割合で内部の人間が引き起こしていることがわかった。そのため、社員教育を徹底し、コンプライアンスに対する意識向上を図ることが必要となる。
     一方、政府も個人情報をめぐる環境の変化にともない、2015年に「改正個人情報保護法」が成立・公布され、今年の5月30日から全面施行となった。これにより、個人情報の取り扱いルールが大きく変わり、改正前まで対象外だった5000人以下の個人情報を取り扱う小規模事業者にも同法が適用されるようになった。


     トラック運送事業者も、情報のネットワーク化や配送に必要な利用者の個人情報など取扱情報の大量化が進んでいるため、今後は個人情報保護に関する管理体制を強化していく必要がある。事業者のなかには早くから、情報漏えい対策にプライバシーマークを取得する動きも増えている。
     プライバシーマークとは、個人情報を適切に取り扱っている組織を一定の基準で認定する制度で、審査基準が厳しいうえ、企業全体で個人情報の適切な取り扱いを構築し、運用しなければならない。そのため、少しずつではあるがプライバシーマークが認定されると、その企業に安心して個人情報を提供できるというイメージが定着しつつある。
     出版産業(渡邉留雄社長、埼玉県入間郡)の渡邉一矢専務は、「プライバシーマークの取得は、BtoCのeコマース物流と、主力の出版物流で仕事を行っていくうえで必要と考えた」からで、「早い段階で取得したのは、他社との差別化の意味合いもあった」という。
     渡邉専務は「プライバシーマークを取得したことで、社員全員の意識が変わった」とし、さらに「プライバシーマークを持っていることが宣伝効果にもつながり、企業価値を高めるうえでも大きな力になっている」と話す。
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     ビー・カーゴワークス(波田雅文社長、千葉県市川市)では、プライバシーマークの規定に則って、社員全員で情報漏えい防止対策を徹底。業務管理本部の須藤優美課長は「社員全員が常に、どんなリスクがあるかを考えながら、細心の注意を払って仕事に取り組んでいる」としている。
     波田社長は「プライバシーマークを取得する前と後では、社員自身の意識が大きく変わった」と話し、「会社の信頼度も高まって、大手と直接取引ができるようになった」と、プライバシーマークの効果を実感。「伝票や書類などが消失する恐れもなくなった」という。
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     小島レッカー(小島光博社長、埼玉県さいたま市)では、仕事を手伝っているロードサービス会社からの提案でプライバシーマークを取得。レッカー業界で同マークを取得している事業者は多くないが、大いに役立っているという。
     小島社長は「取得する前に比べて、経営者と社員全員が個人情報の取り扱いに慎重になった」だけでなく、「会社を運営していくマニュアルとして、フロー(流れ)も学ぶことができた」とし、「今後は仕事をするうえで、プライバシーマークの取得が必須となる可能性もある」と考えている。
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     プライバシーマークの取得は、情報漏えいを防止するために一定の効果があるだけでなく、企業価値をも高めてくれる。これから先はGマークとともに、プライバシーマークを取得していることが仕事を得るための必須条件となる時代が訪れるかもしれない。
     ほかにも対策として、情報が漏えいしてしまった場合のことを考えて、保険への加入も一つの方法である。情報漏えいに関連した保険には、どのようなものがあるのか、大手保険会社に聞いてみた。
     損害保険ジャパン日本興亜(東京都新宿区)には、「個人情報取扱事業者保険」や「サイバー保険」「サイバーLite」などの保険がある。個人情報漏えいで、発生した事故内容の公表や本人への謝罪などの対応をサポート。原因究明や影響範囲調査、被害拡大防止アドバイスなどの費用は保険金でカバーされる。「運送業の場合、クライアントから預かった個人情報を紛失してしまい、一義的にはクライアントが利用者の対応をする」が、「そのクライアントから運送業者が求償されるリスクがあるため、そのリスクを懸念されて保険に加入する事業者が多い」という。
     一方、あいおいニッセイ同和損害保険(同渋谷区)には、「情報漏えい賠償責任保険」や「IT事業者賠償責任保険」「サイバーセキュリティ保険」などの保険がある。情報漏えい事故による被害者への賠償金だけでなく、事態収拾の社告や会見費用などをカバー。これらの保険は、個人情報に限らず情報全般の漏えいを対象としている。
     「当社の保険では、個人情報に限らず情報全般の漏えいを対象としている」とし、「紙媒体であろうが、データであろうが、その内容は問わない」としている。また、「プライバシーマークを取得している場合、保険料が割安となる」とも説明する。

     
     
     
     

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