-
トピックス
「法定運賃」実現に動く 物流変革協がモデルタリフ作成へ
2011年5月20日
中小実運送物流変革協会(冨永昭穂会長)は「法定運賃」(仮称)の設定を国に要望することを決めた。低賃金、社会保険未加入、過重労働などトラック業界が抱える問題は「すべて原資となる運賃・料金が適正に収受されていない現実に起因する」として、かつての認可運賃のような「国のお墨付き」による運賃タリフの実現を目指す。国に実現を促す材料としての運賃タリフのモデル作成に向け、今夏までに学識経験者を加えたプロジェクトチームを組織する。「法定運賃」との呼称は、荷主との力関係に屈することなく、「普通の商売として公平、公正な取引」を実現するためという。
「運賃・料金問題は、トラック事業者の自助努力では、どうにもならなくなっている。荷主との力関係では大手企業もいじめられている。やはり旧認可運賃のような国のお墨付きがないとだめ」と事務局は説明。中小実運送物流変革協会で検討しているのは「車種別・業態別」で基本運賃を設け、それに時間軸、距離軸のマス目を重ねるというもの。例えば、2トン車・平ボディーなら「3時間で2万円」、4トン車・バン型なら「6時間で5万円」など、「ユーザーに分かりやすいタリフ」を考えている。
「運転者1人は必要なので、その人件費、社会保険料なども勘案した金額を設定する」という。また、輸送する貨物によっては現在、特殊な運賃・料金も存在するが、これらも「基本的には車種別」で括り、その上で「細かく網をかけ、基本的な運賃を設定していく」とする。「そうやって決めた運賃を『法定運賃』として、正しく収受できるように国に指導・監視してもらう。もうそこまでしなければならない状況になっている」と事務局。
関東ト協(星野良三会長)の呼び掛けもあり、近年は首都圏の中小事業者の間でも「取れる、取れないは別に原価計算意識は高まりつつある」という。さらに東日本大震災の緊急輸送におけるトラックの活躍ぶりから、「今がトラックの運賃・料金制度を改める絶好の機会」と同協会は指摘する。
「すぐに実現させるのは無理かもしれないが、国や政治家を説得する材料として、学者に法定運賃タリフ、料金を重ねたマトリックスなどを作成してもらう」ことを決定。夏までには「具体的なモデルタリフ作成」に向け動き出す構えだ。(土居忠幸)
-
-
-
-
「トピックス」の 月別記事一覧
-
「トピックス」の新着記事
-
物流メルマガ