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労働時間守れず苦慮 今の運賃で長距離はムリ
2011年9月14日
適正運賃の収受という積年の課題が、運送事業者の間で再び強調されている。神奈川県の事業者は、巡回監査で労働時間の超過を指摘された。1週間に2回ほど大阪行きの仕事をしていたが、帰り荷を待って戻ると、ほとんどの場合が労働時間超過になった。この事業者は「今の運賃では、二人分の人件費は出ないし、空荷で帰ったら赤字になる。実運送の最低運賃を決めてほしい」と訴える。
法令順守に努めてきた同社は、労働時間や社会保険の加入状況なども常に見直し、適正化実施機関が巡回指導に来た時も改善が進んでいると評価されていた。もちろん、長距離輸送の労働時間にも気を配っていた。神奈川から大阪までの便では、どうしても労働時間超過になってしまうので、その仕事は傭車に出してきた。自社でできない仕事を他社へ回すのは心苦しかったが、「法令順守のため」と割り切った。それが守れなくなったのは仕事量が減少したからだ。
リーマン・ショックで荷物が激減し、保有車両の半分は仕事がなくなった。駐車場に止まったままのトラックを見ていたドライバーらは、「大阪行きの便を復活させてほしい」と社長に懇願したという。「傭車に出しているなら自社でやろう」との気持ちが出てきたのだ。労働時間は長くなるが、ドライバーは仕事を求めていた。
そうして復活させたのだが、巡回監査では、その長距離輸送の内容が指摘された。社長は「労働時間超過といっても、従業員に過重労働をさせて会社が儲けているわけではない。長距離輸送をすると帰り荷を待つので、そういう構造になってしまう。結局、以前は傭車に出していたように、うちが断っても他の事業者がやるだけ」と指摘。「長距離輸送も誰かがやらなければならない。実運送の適正運賃を見直すべきだ」と話している。(千葉由之)
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