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    引越事業優良評価制度 「約款」問題が浮上

    2012年3月23日

     
     
     

    hikkoshi_0326.jpg 「引越事業優良評価制度」が14年度にスタートする。消費者が引越業者を「安心して選ぶ」ことができ、引っ越しに伴う「苦情」を少しでも減らそうというのが狙いで、制度の内容は全ト協の引越事業優良認定制度準備委員会(野尻俊明委員長、流通大学教授)が検討を進めている。現在、クローズアップしてきたのが「標準引越運送約款」の問題。同約款の適用は「貸し切り」に限るため、制度の対象を「積合せ」まで拡大すると消費者保護の観点に基づく各種規約が生かされず、「制度の趣旨からかけ離れてしまう」というのだ。委員会では「貸し切り」「積合せ」を併せて対象とする方針を固めており、解決策を探っている。



     野尻委員長は本紙の取材に対して、「約款の問題は古くて新しい問題」と指摘した。「標準引越運送約款ができた当時は(引越輸送は)貸し切りしかなかった。その後、積合せの取扱いが増え出し、業界では話題になっていた」という。

     「積合せ」はいわゆる混載便で、同一方向に向かう複数の利用者の荷物を1台のトラックに積載。輸送効率を上げることで「安い運賃」が可能だが、車が満載にならないと出発しないため「遅延」のトラブルも起きている。荷物が混ざることでの「誤配」、積み替えでの「紛失」など苦情も多いという。

     標準引越運送約款では消費者保護の観点から、見積もり(第3条)、責任の特別消滅理由(第25条)、損害賠償の額(第26条)など重要規定を設けているが、積合せは「標準貨物自動車運送約款」のみで消費者向けの約款はない。

     野尻氏は「約款問題だけでなく、今ではインターネットを利用した引っ越しも多い。引っ越しは『サービス』なので、実運送だけ縛りにかけることはできない。課題は多い」と話した。

     標準引越運送約款については、引越業者からキャンセル料金規定などを巡り、「消費者保護に偏り過ぎ。見直すべき」との批判もあり、「この際、一気に改訂してはどうか」との声も上がっている。

     優良事業者の認定要件では当初、「Gマーク」(安全性優良事業所)取得を必須とする方針だったが、Gマークは事業所単位のため必須要件にすると、「関西営業所は引越優良認定されているが関東営業所はまだ」といった事態が発生するなどの弊害も想定され、「Gマークの審査内容の一部」を要件にすることで落ち着いた。

     評価制度の申請対象は事業所単位、事業者単位、ブランド単位の「すべて可能」とする方針で、○○引越センターなど同一名称、マークの「ブランド」を使用しているグループの代表(本部)が加入事業者を取りまとめて申請。加入者すべてが審査要件を満たしていれば認証が与えられる。

     認定要件ではこのほか、「引越管理者講習の修了者が在籍していること」を求める方向で協議中。また、インターネットで募集する場合は「利用者に分かりやすい」ように事業許可番号、国交大臣から事業許可を受けている事業者名(第1種貨物利用運送では登録事業者名)を明記することや、「苦情受付窓口」の設置義務付けなどを検討している。

     全ト協輸送事業部では、「これまで事業者サイドの立場で論議されてきたが、今後は消費者目線で分かりやすく、納得してもらえるような制度構築に向けて検討していく」と説明。次回の準備委員会は5月に開催される。(土居忠幸)

     
     
     
     
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