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「公益化」で疑問点露呈 運賃の運動も何もできなくなる
2012年6月14日
公益社団法人への移行を問うたものの、採決できなかった5月29日の兵ト協通常総会は、「公益」の甘言にひそむ盲目的追従の側面がありはしないかといった疑問点が露呈した会議だった。
福永征秀会長は、新公益法人制度のなかでも一般社団法人を選択すべきだと意見表明した会員に対して、次のように述べて公益社団を選んだ理由を説明した。「全ト協も公益社団でスタートした以上、兵ト協も公益のほうがベターではないか」「先行きは公益社団化への(行政による)指導が出てくる。二度手間の必要もない」。法人移行を問う協会内部の手続きで最終的に求められるのは、この日に行われたような定款変更決議だ。現行定款も、新法人のモデル定款でも総会員の過半数あるいは半数以上の出席がある総会で、少なくとも67%から75%以上の賛同を得なければ定款は変更できず、したがって法人移行はできない。総会の定足数を満たすだけでも一苦労という現状がある以上、二度手間は避けたいと考えるのも無理はない。
しかし、実質的に問題となるのは前者、つまり「全ト協も…」といったくだりではないか。ある会員は、「全ト協は各都道府県ト協を会員とする団体であって、日々の業務にあくせくとする事業者を会員としていない。全ト協はもともと空中戦の部隊であり、同じような組織に県ト協が移行する必要性は全くない」と本紙に話す。全ト協に追従することが「ト協は今後、会員のためのものではありません」と表明するように聞こえるという。
追従、というキーワードでくくった時、総会当日に出された意見のなかに次のようなものがあった。「現行定款にある『国会、行政庁等への申し出並びに請願陳情』という文言から、新定款案には『請願陳情』が削除されている。『法令の施行の措置に対する協力』という文言も、『法令の施行に関する措置の順守』へと変更されている。公益社団に移行すると、今後は運賃の運動も何もできなくなるということではないか」
選挙で選ばれた国会議員が立法した法律、あるいは内閣が決定した政省令を、公益社団として順守し、会員にも順守させるよう努めるというのは、建前上は聞こえがいい。しかし、それだけでは回らない業界の根底の構造があるからこそ、ト協は存在しえているのではないか。そうした議論が出てきたことをきっかけとして、盲目的追従を執行するために資するような組織作りは改めるべきだ。(西口訓生) -
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