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新トラック運送経営のヒント(37)現行の告示基準の違反改善
2012年9月28日
6月に、関東運輸局が運送会社の行政処分の統計データを発表しました。それによると、23年度の監査実施件数は1171件で、前年度の約1.5倍になっていました。1171件中、実際に行政処分を受けたのは532件。監査を受けると約45%の確率で行政処分になる、ということです。
もう少し詳しく分析してみましょう。1171件の監査を振り分けると、特別監査が22件、巡回監査が363件、呼び出し監査が786件となります。監査の種類ごとに「営業停止」になった件数は特別監査で10件、巡回監査で45件、呼び出し監査で5件の合計60件。従って特別監査は10/22×100≒45%、巡回監査は45/363×100≒12%、呼び出し監査は5/786×100≒0.6%という「営業停止発生率」になります。まず、「特別監査」が営業停止になる確率が高いのは理解できます。なぜなら特別監査が行われるケースは、そもそも社会的問題となるほど大きな事故や悪質違反だからです。問題は「巡回監査」です。法令違反の疑いがあるなど、監査を行う必要があると認められる運送会社に対し、重点事項を定めて法令順守状況を確認するのが「巡回監査」です。例えば「労働局からの通報」を受けての巡回監査では、ドライバーの労働時間の違反を重点的に監査されます。
今回の統計で注目すべきは、巡回監査で行政処分を受けた運送会社の12%、10社に1社超が「営業停止」になっているという事実です。「営業停止」という大変重い行政処分が、とても身近なことに感じますよね。今回の統計でも、「労働局による通報」は「監査に入るきっかけワースト3」に入っています。
ゴールデンウィークに起きた関越道の高速ツアーバスによる死傷事故。この事故の主な原因は「過労運転」による居眠り運転です。今後、バス業界だけでなく、トラック運送業界にも「過労運転」は重点項目として監査件数が増えることが想像できます。また、高速ツアーバスの夜間運行について、ツーマン運行の基準が改正されました。トラック運送業界にも、拘束時間や運転時間などの告示基準改正の可能性も否定できません。
そのために今からやるべきこと。それは、自社における「現行の告示基準の違反の改善」です。他業種で起きていることが自社の業種にどんな影響を与えるのか。賢明な社長さんなら、すでに労働法令の改善に着手していますよね。
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