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北海道で進む「リージョナル・ロジスティクス」3
2013年2月6日
北海道の物流活性化、経済振興を目指し、産学官が連携して進めている「北海道国際輸送プラットホーム(HOP)」構築に向けた取り組み。サンプル輸送として、昨年9月に香港に小口冷凍冷蔵貨物を航空便で運び、その後も10月に再び香港、12月にシンガポールへと貨物を運んだ。物流実務は、同事業に参画しているヤマトグループが担った。
海外との取引を始めたいが、一歩踏み出せない道内の生産者や食品会社を対象にしたもので、それぞれ事務局(北海道開発局)が選定した現地の飲食店経営者や料理人らに商材を届け、継続的な取引につながるか、味・鮮度・価格などの評価を確かめた。費用は1品目、輸送料や調査料込みで5万円と格安に設定。香港には延べ100社、シンガポールには同20社にサンプルを輸出し、半数を超える68社から「取引したい」との回答を得た。この取り組みの結果、昨年12月時点で道内2社が新たに海外取引を開始し、このほかにも商談が進んでいる案件が多数ある。
また、サンプル輸送で取引が始まるなど「海外との商談がまとまっている」事業者を対象に、昨年9月から定期輸送サービスの「HOP1」を始めている。これは道内どこからでもダンボール1箱、香港まで9000円、シンガポールまで1万5000円という小口国際輸送サービス。同様に小口・クール対応をしている既存の国際航空輸送便と比較して、香港までなら5分の1以下の安さの物流ルートを設けた。
サンプル輸送、HOP1を合わせ、約3か月で167個の貨物を創出。これまで海外取引を望んでいても、道内から直接の物流ルートがなくコストも高かった。新たな海外取引と物流の創出は、これらの取り組みから実現した。
HOP構築に向けて、届ける地域や輸送ルートの拡充も進んでいる。小口の海上輸送ルートを作るため、昨年9月にシンガポール、10月に台湾へとLCL輸送実験を実施。これはコンテナ内に冷凍・冷蔵の2温度帯を創出し、小口の荷物でもコンテナを仕立てることができる。また、12月には鉄道(12フィート)コンテナを40フィートラックコンテナに装着し、香港まで海上輸送する実験も行った。
地域の3PL機能としてHOPが「完成」するのは、取り組みを始めてから5年後の平成28年度と見込んでいる。航空便で200個に満たない荷物を、初年度としてどう見るかは評価が分かれるところだが、28年度にはサンプル輸送、HOP1を合わせて航空便だけで3500個ほどの荷物を作るのが当面の数値だ。
地域の活性化のために、安価な物流ルートを作ることから始まったHOP構築の取り組み。半年が経過し、課題も見えてきた。(玉島雅基)
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