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台車ブレーキ廃止に不安の声、再び 業界挙げて警鐘を
2017年10月6日
トレーラに装着されていた台車ブレーキ(シャシーブレーキ)は、一部の新型トレーラトラクタには装着されていないことから、ユーザーである運送会社から、「長い下り坂・雪道などでブレーキングした場合、台車に後方から押され、ジャックナイフ現象を起こす恐れがある。なぜ新型トラクタには装着されていないのか」という疑問が今春に持ちあがった。一部の運送会社経営者は、国交省や販売先のディーラーに問い合わせたが、電子制御によるブレーキ操作で新型の台車では正確にブレーキコントロールが可能とし、さらには海外から輸入されているトラクタには装着が義務付けられていないことから、台車ブレーキが新型車から廃止されており、一部のトラックメーカーは新型車の発売に伴い、台車ブレーキを廃止した。しかし、当時は一部の運送会社でしか台車ブレーキ廃止は知られていなかったが、時間経過と共にトレーラを扱う運送会社から「なぜ台車ブレーキを廃止したのか」と言う疑問が再び浮上している。
大阪府大阪狭山市に本社を構え、重量物輸送などを展開する運送A社では「今年になって新型車を導入し、ようやく秋ごろに納車となったものの、新型トラクタに台車ブレーキが装着されていないことに気付いた。トラックと違いトレーラは、トラクタと台車をキングピンで連結して走行するため、お互いのブレーキバランスが重要。特に積載時の長い坂道や雪道などでは車体をまっすぐ停止させるために、台車ブレーキを活用する。特にトラクタ側で排気ブレーキなどを用いて減速した場合、荷物を積載した台車は後方からトラクタを押してくるような動きをするため、行き場のなくなった台車の力が横に逃げて、トラクタと台車がくの字になり、最悪の場合は道路をふさぐなどして横向きに停止し、事故につながる可能性がある。電子制御によるブレーキシステムがあるのはわかるが、トラクタが最新であっても、連結される台車は古い物も多く、その電子制御に適合できない台車もあるため、トラクタがバランスよく台車にブレーキを掛けるシステムが装着されていなければ意味がない。ディーラーに問い合わせても、国による台車ブレーキの廃止により、どうしようもないとの説明。しかし、我々が心配するような事故が実際に起きれば、我々運送会社とドライバーの責任は目に見えている。そのため、業界を挙げて警鐘を鳴らすべき」と話した。今春、実際にディーラーや国交省に台車ブレーキ廃止に対して問い合わせを行った堺市の運送B社は「輸入されているトラクタには台車ブレーキはないと聞かされている。当時もそういった規格に沿って新型トラクタから台車ブレーキが廃止されたとディーラーからも説明を受けた。また、国交省でも当時の説明では電子制御によりブレーキをバランスよく各車輪に行うことで、トレーラのバランスを崩すことなく停止できると聞いていた。しかし、最新の電子制御が活用された台車であれば説明はつくが、我々中小の運送会社では、保有している台車が最新型のものばかりとは限らず、古い台車では電子制御でのブレーキは全く無意味と考えている。関係議員にも同問題を示しているが、明確な答えがない。事故が起こってからでは遅いので、我々が安心できる説明もしくは対応を今後も求めていく」と話した。
B社と同様に今春、同問題を疑問ととらえていた大阪市の運送C社でも「B社と話をした際、この台車ブレーキの廃止には驚いた。実際、トラックやトレーラに乗務した経験のある経営者にとって、台車ブレーキが廃止されて大丈夫なのかという不安しかない。最近の車両は全てが電子制御によるものが多く、安全に走行できるものとは理解している。しかし、トレーラに関しては、トラクタが最新型で、台車が古い場合も適合できるのかと、いまだに不安。国が決めたこととはいえ、やはり決める前に現場の声などを調査して決めるべきではなかったのかと疑問に思う」と語った。
各社とも新型車に装着された電子制御によるブレーキシステムは十分理解しているものの、古い台車を使用した時に果たして最新式のブレーキシステムが正確に作動するのかと言う不安がある。そういった観点から考えれば、実験内容や詳しい説明を行うことで、ユーザーも理解できるのではないだろうか。
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