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スマートパーキング 駐車スペース問題解消へ
2017年11月3日
トラックの駐車スペースは慢性的に不足状態にある。ある警察関係者は「宅配や引っ越し関係のトラックが路上に止めているのを取り締まった経験があるが、我々もドライバーが好んで路駐している訳ではないことを知っている。どうにかできないものか」と話す。愛知県のある食品メーカーも「予定時刻より早く来た集荷トラックが駐車場にいっぱいだったために、路上に駐車し、近隣住民から当社へクレームが来たことがある。顧客の前で、こうした事態は避けたい」と話す。トラックドライバーが安心して働ける環境をつくるには、駐車スペース不足の解決が必須だ。今回は、駐車スペース不足の解消に向けて事業展開中のシード(吉川幸孝社長、名古屋市西区)に、現在運営中の時間制駐車場シェアリングサービス「スマートパーキング」について、物流業界でも参考とできる部分はないか、話を聞いた。
スマートパーキングは、駐車場オーナーの初期投資、設備投資、ランニングコストを全てゼロで運営できる駐車場提供サービスだ。コストゼロの理由は駐車場の運営方法にある。駐車スペースの設営は、オーナーとして登録した後、運営事務局から送られてくるビーコン付きのカラーコーンを設置するだけで完了する。ユーザーが利用する際は、そのカラーコーンへ専用のアプリを起動させたスマートフォンを近づけ認証させるだけで利用契約が成立する。あとは従来のコインパーキングと同じく、時間経過と共に料金が加算されていく仕組みだ。さらにスマートパーキングのアプリでは、駐車場が画像付きで検索できるようになっているので誘導看板などの宣伝も不要だ。なお、スマートパーキングのアプリには、駐車場の利用状況確認機能や認証機能以外にも、指定した駐車場へのナビゲート機能や不正駐車の報告機能がついている。この機能は、ユーザーが不正駐車を行っている車両のナンバーが写った写真を転送することで300円分のポイントを得られるというもの。こうした機能を実装することで、オーナーがセキュリティコストをゼロのまま、不正駐車への対策を可能としている。
こうした不正駐車を防止する機能があるため、空いている駐車スペースの不正利用防止を主目的に、同駐車場設備が設置されるケースも少なくないそうだ。ちなみに、他社の駐車場シェアリングサービスとの違いについて質問すると、同社の生田亘課長は「スマートパーキングが他社のシェアリングサービスと異なる一番大きな点は、後払い可能なところ」と答えている。他社では日時を指定して予約し、該当する時間だけ駐車場を借り上げる形であるのに対し、スマートパーキングは後払いとすることで、いつ終わるか分からない用事でも利用しやすくなり、回転率の向上と、それに伴う利益の向上に成功しているという。
現在、スマートパーキングは中部地方を中心に1300か所の契約を結んでいる。来年には3000か所の契約を目指す方針だ。生田課長は「郊外や地方の住宅地など、コインパーキングの少ない場所で需要が高まっている。営業者や事業用自動車など、コインパーキングがないために苦労をしていた利用者は多い」としており、さらに「ニーズがあればトラックも利用できる形も展開していきたい。ニコイチの駐車スペースを持て余している駐車場オーナーなどは少なくない」と物流業界への進出についてもコメントしている。
こうしてスマートパーキングは一般車両を中心に駐車スペースを提供し、交通環境の改善に貢献している。生田課長は「指定地域での駐車場の検索が簡単にできるので、物流業界でも、土地勘のない地域での宅配や引っ越し業務の際など力になってくれるのではないか」と活用事例を話す。また、ユーザーとしての立場以外でも物流事業者は同サービスを活用できることにも気づきだろうか。
例えば、自社敷地内の余っている場所を駐車スペースとして活用することもできる。しかもスマートパーキングは任意で営業のONとOFFを切り替えることもできるので、車が配送に出て空いている間だけ貸し出し可能とすることもできる。もちろん、同業者同士の待機場所として活用し、助け合ったり、地域のイベントに協力するため、その日だけ格安に設定することも可能だ。
他にも、登録代理店として、スマートパーキングを他者へ紹介すると、紹介した先のオーナーの駐車場からシードへ支払われる収益のうち10%が代理店へ支払われる形となっている。うまく活用すれば紹介するだけで多額の資金が得られる。こうした様々なポテンシャルを秘めているスマートパーキング。オーナーの取り分は利用料金の半分だ。決済もサービス利用者がクレジットカードやポイントで行う形になっているので、オーナー側は、お釣りや運営本部送金用の金銭を用意する必要もない。
車両の駐車スペースを確保し、不正駐車をなくすことは道路環境を良くし、交通安全への貢献にもつながる。公道を利用する物流事業者として、一度検討してみてはいかがだろうか。
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